文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

わいず倶楽部

介護・シニア

引退補助犬…第二の暮らし 幸せ見守る

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

 現役を退いた盲導犬や介助犬などの大半はボランティアの家庭に引き取られ、新たな生活を送っている。犬好きのシニア3人が、ボランティアや犬をサポートしているNPO法人・日本サービスドッグ協会(奈良県葛城市)を訪ね、穏やかな日々を過ごす犬とふれあった。

北川さん(手前右)に体をふいてもらうフーリを見守る(後列右から)大東さん、武市さん、嶋崎さん(奈良県葛城市で)=奥村宗洋撮影

 奈良市の大東照正さん(68)、武市和子さん(67)、嶋崎育代さん(64)。3人が訪れた時、月に1度のシャンプーサービスが行われていた。

 協会事務所の隣にある犬用のシャワー専用ルーム。盲導犬を引退したラブラドルレトリバーのフーリ(9歳、雌)がいた。ボランティアとして自宅で飼う北川由香さん(55)(堺市東区)とトリマーに全身を洗われ、気持ちよさそうにドライヤーの風を受けていた。「おとなしくて、いい子ね」。3人は思わず声をかけた。

 フーリは2年前、肝臓の病にかかった。まだ現役として働ける年齢だったが、引退が早まった。北川さんは盲導犬候補の子犬を預かるパピーウオーカーとしてフーリを自宅で1歳まで育てていた。フーリを再び引き取る時は別の犬を飼っていたため、少しためらいはあったが、フーリと暮らした視覚障害者から「かわいがっていた北川さんの元で残りの命をつないでほしい」と言われ、決心した。

 「6年ぶりの再会でしたが、私の顔を覚えていました。今では見違えるほど元気です」。ほほ笑む北川さんを信頼しきっているフーリは片時もそばを離れなかった。

 事務所では、現役を退いた犬を自宅で世話するボランティア約10人が集まり、街頭募金で配る折り紙の犬を作る作業などに追われていた。その周りをボランティアが連れてきた犬たちがじゃれ合っている。ほのぼのとした光景を3人は目を細めて見守った。

 視覚障害がある同協会の谷口二朗・副理事長(57)はラブラドルレトリバーのサファイア(12歳、雄)と別れの時期が近づいている。「共に生活したパートナーに私たちは皆、感謝の気持ちとともに幸せな余生を過ごせるよう祈っています」と、サファイアの頭を何度もなでていた。(浅野博行)

パピーウオーカー
 盲導犬候補の子犬を生後2か月から訓練所に入る1歳まで自宅で預かるボランティア。子犬は愛情を受けて育てられ、人への信頼感を築いていく。


 大東さん「ボランティアの人たちの熱意と同時に周囲のサポートが必要だと感じさせられました」

 武市さん「私も15歳の雑種のメス犬を介護していますが、いとおしい気持ちは皆さんと同じです」

 嶋崎さん「ワンちゃんがちょこんと私の膝にあごをのせてきました。かわいかった。いつまでも元気でいてほしい」

セラピー犬で活躍の道も

 日本サービスドッグ協会は2003年9月、盲導犬をパートナーとする視覚障害者が中心となって設立された。賛助会員は現在、全国に約320人、犬を受け入れるボランティア会員は約120人。引退した犬を支援するNPOとしては国内唯一の団体だ。

 盲導犬として働けるのは10歳前後までで、引退後は病気治療や介護が必要となるケースも多く、受け入れ側の負担は大きい。協会は、医療費や介護費用の補助、介護用品の提供、ボランティアの情報交換ができる場としての役割を担っている。

 引退後も動ける犬は、福祉施設などで入所者らを癒やすセラピー犬などとして活躍しているケースもある。

 協会の運営資金の大半は寄付で賄われており、各地で講演会、街頭募金などを行い、協力を呼びかけている。協会事務所は、月水金曜の午前10時~午後3時、開設されている。連絡先は0745・62・3605(ファクス兼用)。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

わいず倶楽部の一覧を見る

最新記事