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最新医療~夕刊からだ面より

医療・健康・介護のニュース・解説

レーシック手術…医療機関 術後対応で選ぶ

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 レーザー照射で視力を矯正するレーシック手術。日本にも徐々に普及し、裸眼で十分な視力を取り戻す人が増えている。ただ、リスクもある。安易に受けるのではなく、本当に必要かどうかよく考えて、事前の説明や検査、術後のケアが十分な医療機関を選ぶことが大切だ。

 「コンタクトのいらない生活はすごく快適」。1年前、東京都内で手術を受けた幼稚園教諭の女性(27)はそう語る。

 視力が両目0・1弱という近視で、日中はコンタクトレンズ、帰宅後の夜間は眼鏡を使ってきた。手術を受けたきっかけは、東日本大震災後、「夜に地震が起きた時、周りがよく見えないと怖い」と思ったこと。コンタクトで角膜に傷がつき、痛みや違和感があったことも理由だ。

 手術前、起こりうる合併症などの説明と、目の状態が手術に適しているか調べる検査を計3時間ほどかけて受けた。1か月後の手術は約20分で終了。術後は、定期的に経過観察の通院を続けている。「最初はドライアイで目が乾く症状があったけれど、目薬をつけて1か月くらいで治った。今、視力は両目1・5です」と女性は話す。

 レーシック手術は、角膜の表皮をめくってエキシマレーザーで削り、屈折の異常を調整するもので、主に近視を矯正する。保険のきかない自費診療で、通常、片目10万~30万円かかる。

 日本眼科学会によると、手術で90%以上の人が裸眼視力1・0以上に回復する。しかし、視力が十分出ない場合もあり、再手術になることもあるという。術後の合併症としては、目の痛み、角膜の感染症、夜間に光がまぶしくにじんで見える症状(ハロー・グレア)、角膜が複雑にゆがむ「不正乱視」、ドライアイなどが知られている。

 同学会の指針では、レーシック手術は眼鏡やコンタクト装用が困難な場合などに検討すると位置づけられている。近視の矯正量は、原則として屈折異常の程度が6D(ディオプトリー)以内とされ、医学的な理由でそれ以上矯正する場合でも10D以内とされている。

 3年前、専門クリニックで手術した男性(43)は、手術の数日後、気分が悪くなって倒れ、ひどい遠視になっていることがわかった。現在も、テレビの視聴や車の運転で強い目の痛みがある。

 カルテなどを確認したところ矯正量は10Dを超えており、そもそも近視が強すぎてレーシック手術の適応でないのに、学会指針を逸脱した手術が行われた可能性があった。男性は「事前にリスクの説明はなかった。近視とはいえ健康な目に行う手術。削った角膜は元に戻らないので、何かあれば取り返しがつかない。いいことばかりじゃないと知ってほしい」と話す。

 昨年12月、医療問題弁護団が行ったレーシック被害相談ホットラインには129件の苦情が寄せられたが、半数以上がこの男性と同じ専門クリニックで手術を受けた人からの相談だった。

 慶応大病院眼科教授の坪田一男さんは「事前の検査や問診で、希望者の約20%はレーシック手術ができないと判断される。レーシックは外科手術であり、適応かどうかの見極めは非常に重要だ。そのうえで、術後のケアが十分で、目の疾患全般に通じた信頼できる眼科専門医を選んでほしい」と助言している。(高梨ゆき子)

 
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