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地域包括診療料…高齢化社会で高まる主治医の役割

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 厚生労働相の諮問機関である中央社会保険医療協議会は12日、2014年度からの診療報酬改定について答申しました。目玉のひとつが、主治医機能を評価したという「地域包括診療料」です。

 高血圧、糖尿病、脂質異常、認知症の4つの病気のうち2つ以上ある患者が対象。「主治医」になれるのは診療所または200床未満の病院の医師で、患者の健康管理を行うのはもちろん、患者がかかっている全ての医療機関や服薬内容を把握することや、介護保険に対応できること、在宅医療に対応できることなどの条件を満たすことが必要です。通常の再診料72点(1割負担なら70円、3割負担なら220円)に代わり、月1回1500点(同1500円、同4500円)を請求することができます。

 患者にとってみれば、月の負担は4200円~1500円ほど増えることになりますが、頼れる主治医を持つことで安心を得ることができるということになります。

 条件には、対象患者に対しては院内処方を行うことも定められています。国は従来、医師は処方箋を出し、薬は調剤薬局が出すという医薬分業の推進を図ってきました。医薬分業には、かつての薬価差益を背景とした薬漬け医療の是正に狙いがあったとされ、患者の服薬状況の全体的な管理は薬剤師が担います。今回、院内処方が条件とされたことは、主治医に服薬管理も任せる分、薬局における調剤料、管理料などの削減につながるものとなっています。

 「地域包括」とついた新設の診療料には、もうひとつ「地域包括ケア病棟入院料」があります。急性期の治療を終えて在宅復帰を目指す患者の受け皿となる入院病床という位置づけです。

 診療報酬での「包括」と言えば従来、様々な医療行為をひとまとめにして算定するものという意味合いでした。今回の「地域包括」は、単に丸めた意味での包括ではなく、患者を地域全体で支えるという意味であることが大きな違いです。(田村良彦)


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