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がん治療と痛み(2)心身を総合的にみた漢方医

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 千葉県がんセンターの漢方外来が始まったのは、2009年。千葉大学医学部附属病院和漢診療科(漢方)から派遣された漢方専門医(日本東洋医学会認定)の岡本英輝さんが診療に当たっている。

 渡邉慎介さん(48)は岡本さんに、抗がん剤治療の副作用として生じた背中や腰などの痛みを訴えた。苦しい症状を少しでも分かってもらおうという気持ちだった。

 話を聞いた岡本さんがまずしたのは、渡邉さんの手を取り、手首の血管から脈の様子をみる「脈診」。続いて、出してもらった舌の色や表面の様子をみる「舌診」を行った。漢方では、患者の訴えをよく聞き、脈診、舌診などを通じて得られた所見から、心身の状態を総合的に判定し、漢方薬を選ぶ。

 初診で処方されたのは「桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)」。冷えやすく、体力が低下した人向きの処方で、関節痛、神経痛に効果があるとされる。1日3回の食事の時に、漢方の粉末製剤を従来の鎮痛薬と一緒に服用し始めた。

 効果はすぐには表れなかったが、渡邉さんは2か月ごとの漢方外来受診と服用を続けた。仕事で非常に疲れていた時、岡本さんが脈診だけで具合がよくないのを言い当てたことがあった時は、正直、驚いた。

 「なんで分かったのだろう。西洋医学では見えない部分がやはりあるのか」。渡邉さんは岡本さんに信頼を寄せ始めた。

 
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