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医療・健康・介護のニュース・解説

がん治療と痛み(1)鎮痛薬、効果感じられず

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 千葉県を中心に活動するがん患者会「支えあう会『α』」の理事で、会社員の渡邉慎介さん(48)=千葉市在住=は、悪性リンパ腫に対する治療の副作用として生じた体の痛みとしびれを漢方と西洋薬の両方を組み合わせた治療で克服し、仕事を続けている。漢方は、渡邉さんのがん治療においてどんな役割を担ったのか。3回にわたり報告する。


治療後、副作用が残った


 「漢方も試してみましょうか」

 千葉市の千葉県がんセンター。悪性リンパ腫の治療で世話になった腫瘍血液内科の主治医が、センター内の「漢方外来」の受診を勧めた。2012年3月のことだ。

 悪性リンパ腫の治療自体は、1年半前に終わり、首の右側にこぶのようにできた腫瘍は皮膚の上から感じられなくなっていた。血液検査でも、がんは消えており、2か月ごとの定期受診で再発の兆候がないかどうかを診てもらっていた。

 残った大きな問題は、抗がん剤による化学療法で生じた体の痛みだった。治療当時も、眠れないほど激しい痛みに苦しんだ。時間の経過で和らいではいたが、腰や背中などに刃物で刺されたような激痛に襲われることがあった。

 痛みで集中力をそがれ、病気前に比べ、同じ内容の仕事により多くの時間が必要になった。また営業で毎日、車を走らせており、痛みの発作には命の危険を感じた。複数の鎮痛薬を服用していたが、目立った効果はなかった。

 脊椎の骨の間に注射針を入れ、脊髄の近くに麻酔薬を注入する神経ブロック治療を痛みの専門クリニックで受けたこともあった。痛みは消えたが、効果は1週間程度しか続かなかった。万策尽きて、主治医に相談したところ、返ってきた答えが冒頭の「漢方」だった。

 主治医の提案に、漢方の経験がない渡邉さんは消極的だった。「効くわけがないと内心思いました。それでも、受けてみたのは、主治医を信頼していたから。ただ、ほとんど期待はしていませんでした」

 千葉県がんセンターの漢方外来は、毎週火曜日午前のみ開かれている。渡邉さんは、漢方外来の受診予約を取ってもらった。

 
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