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イグ・ノーベル・ドクター新見正則の日常

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インフルエンザは罹ってみたほうがいい?

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 インフルエンザが流行はやっていますね。近くの小学校では学級閉鎖になっているところもあります。インフルエンザの日本語知っていますか? 「流行性感冒」というのですよ。「はやり風邪」ですね。実は、エラそうにインフルエンザと言っても風邪の一種類です。


ウイルス疾患治療薬の登場

 最近はインフルエンザの検査キットがあって、鼻や喉の粘液を拭って、そして30分もあれば検査結果がわかります。A型かB型かもわかります。インフルエンザの確定診断が得られるとインフルエンザの増殖を抑える抗インフルエンザ薬が投与されるのが通常です。抗インフルエンザ薬には経口薬のタミフル、吸入薬のリレンザやイナビル、また点滴薬のラピアクタなどがあります。すべて商品名です。

 それらの効果はどれほどなのでしょうか。インフルエンザに実際に感染した同僚の話では、確かに薬を使用すると体が楽になるそうです。患者さんも薬を使うと楽になったという人が多いですね。ひと昔前はウイルス疾患に対する薬はありませんでした。細菌感染症は抗生物質で対処可能でしたが、ウイルスは細菌とは違う病原体にて、抗生物質は無効なのです。そんなウイルス疾患を根本的に加療できる薬が登場したことは素晴らしいですね。


ワクチンを打ったのに感染?

 インフルエンザの予防は予防接種(ワクチン)ですよね。毎年の接種が勧められています。流行するインフルエンザウイルスは単一ではなく、A香港型、Aソ連型、B型の3種類で、またそれらが微妙に変異を繰り返しているので株が異なります。毎年、今年流行するであろう株を予想して、それぞれからひとつ、合計3種類のインフルエンザ株に対するワクチンを作製しています。だから毎年ワクチンを打つ必要があるのです。その選定経過なども含めて国立感染症研究所のHPに詳しく書かれています。

 インフルエンザのワクチンを打ったのに感染したという人がたくさんいます。そんなとき僕たち医療従事者は「ワクチンを打ったから症状が軽く済んでいるのですよ」と説明しています。また接種するときに「このワクチンは予防というよりも、軽症化することが目的と思って下さいね」という医師もいます。どれも正しいと思っています。

 インフルエンザにかかると仕事や学校を休まなければなりません。やっぱり罹りたくない、そして罹っても重症化してほしくない。そんな思いで僕たちはワクチンを接種しています。

 費用は1000円から6000円ぐらいです。病院やクリニックによって違うのですよ。ワクチン自体は同じです。ですからあらかじめ電話で費用を確認しましょう。また既に接種した人に費用を聞いてみることも簡単な医療費の節約方法ですね。

 またワクチンを打って、その影響でインフルエンザになったという人もまれにいますね。病原性を少なくしたものを打って(生ワクチン)、そして本物の病気に罹りにくくすることがワクチンの基本原理ですから、ワクチン接種で病気になることも当然ですね。しかしインフルエンザワクチンは病原性をなくした不活化ワクチンを接種するので、インフルエンザになることは考えられません。たまたま同時期に感染したのです。


我が家はこの冬、ワクチンなし!

 さて我が家はどうしているかです。まず子供が発熱すれば、漢方薬のひとつ、麻黄湯(まおうとう)で対処します。この2年間で38.5度以上の熱を10回近く出しましたが、すべて麻黄湯で対処して、翌日には解熱し、病欠は1日もありません。親も発熱すればまず漢方薬です。解熱剤は使用しません。もしも発熱すれば漢方薬で対応し、1日様子を見ても増悪するようであれば、インフルエンザの検査をしようと思っています。

 今年、我が家はインフルエンザワクチンを打ちませんでした。高齢の母は打ちました。僕の個人的意見として、元気な人はインフルエンザには罹っておいた方がいいのではと最近思っているのです。それが本来の免疫ですよね。体を鍛える意味でも今年はワクチンなしで様子を見ているのです。ちょっとドキドキですね。

 人それぞれが、少しでも幸せになれますように。

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知りたい!_20131107イグ・ノベーベル賞 新見正則さん(1)写真01

新見正則(にいみ まさのり)

 帝京大医学部准教授

 1959年、京都生まれ。85年、慶応義塾大医学部卒業。93年から英国オックスフォード大に留学し、98年から帝京大医学部外科。専門は血管外科、移植免疫学、東洋医学、スポーツ医学など幅広い。2013年9月に、マウスにオペラ「椿姫」を聴かせると移植した心臓が長持ちする研究でイグ・ノーベル賞受賞。主な著書に「死ぬならボケずにガンがいい」 (新潮社)、「患者必読 医者の僕がやっとわかったこと」 (朝日新聞出版社)、「誰でもぴんぴん生きられる―健康のカギを握る『レジリエンス』とは何か?」 (サンマーク出版)、「西洋医がすすめる漢方」 (新潮選書)など。トライアスロンに挑むスポーツマンでもある。

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