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[シカゴから]遺伝子診断 有用性揺るがず

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 米国の食品医薬品局(FDA)が、同国の遺伝子診断企業「23アンドミー」に対して遺伝子診断サービス提供の中止を求め、その書簡を昨年11月に公表して話題となっています。

 この企業は、グーグル社共同設立者の家族らが設立したことから社会的関心が集まっていましたが、FDAから「遺伝子検査結果に間違いがある場合やその結果の解釈が医学的に不正確だった場合、健康被害が生ずる」との警告を受け、12月には病気などに関連する情報提供を中止しました。

 しかし、遺伝子診断そのものが否定されたのではありません。遺伝子診断といっても、根拠が定かでなくほとんど意味のないものから、治療に大きな影響力を持つものまで、いろいろなレベルの遺伝子診断が存在します。確固たる根拠があり、医療上有用なものについては、警告を出した米国FDA自身が薬剤の投与前に検査することを推奨しています。

 特に、効果の期待できる治療法選択や副作用の回避に役立つ診断は、医療の質の向上のために非常に重要です。輸血する場合にABO血液型を調べますが、血液型も元をただせば遺伝子の違いによって生じているので、薬剤の投与前に遺伝子を調べて副作用を予測するのも本質的には同じことです。

 また、米国では国の機関が中心となって遺伝子情報を医療に広く応用すべく、大きな医療機関を中心としたゲノム医療センター会議が、今年1月を含め、すでに6回開催されています。この会議は、医療上有用な遺伝子情報を医療現場に導入するための課題を共有し、その解決を図るのが目的です。

 医療の質を落とさず、医療費の無駄をなくすには、遺伝子情報を利用した、より安全で効率的な医療の推進が不可欠です。(シカゴ大教授 中村祐輔)


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