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宋美玄のママライフ実況中継

医療・健康・介護のコラム

議論紛糾、子連れの新幹線移動

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まだ空いているときにのぞみ号で遊ぶ娘です

 今年の正月休みは暦が良かったせいか、最大9連休だったようですね。休み明けに保育園に行く時、娘はだいぶ泣いて抵抗していましたが、迎えに行くと楽しそうにしていたのでほっとしました。そもそも彼女はパワーが有り余りすぎて、親たちだけで吸収するのは非常に困難なので、保育園で年の近い子供たちと楽しく遊んで教育もしてもらえるのはとても助かります。

 お正月休みと言えば、帰省や旅行で公共交通機関を利用した方も多いと思います。今年は1月3日に有楽町で火災があった影響で、西日本まで新幹線のダイヤが乱れるという影響が出ました。多くの人が何時間も車内で過ごすはめになったり、いつ乗れるか分からないまま駅で待たされたりして大変だったそうです。テレビでは「明日仕事なので今日中に帰らないと」という乗客の方のコメントが流れ、「こんな時くらい仕事先に事情を説明して、ダイヤが正常化してから帰れないものなのかなあ」と思いましたが、確かに翌4日も指定席はほとんど満席だろうし、その日に移動するしかなかった人も多かっただろうと思います。

 Twitterでは、「グリーン車の空席を子連れやお年寄りに開放して欲しいと車掌さんに言ったら断られた。優しくない」という旨の乗客の女性のツイートが炎上したり、堀江貴文さんが賛同した「公共交通機関に子どもを乗せるなら睡眠薬を飲ませたら良いのに」という旨のツイートが論争になったりと、子連れの新幹線移動の話題が多かったようです。さすがに正月休みなので、「子どもを連れて移動するな」という「そもそも論」は鳴りを潜めていたようですが、子連れで新幹線移動をしている身としては人ごととは思えない話題でした。

いいアイデアはないものか

 3日の混乱に関しては、なかなか名案というのは難しいです。何時間も待たされて疲労と不満がたまっていた乗客が多いという状態で、子連れやお年寄りにグリーン車の座席を開放したとしても数が到底足りないでしょうし、すし詰め状態になっているデッキから、優先されるべき人を誰が選別するのか、その選別の基準が新たな不満を呼ぶでしょう。JRの従業員にしても不可抗力の事態であるのに乗客から散々責められていたでしょうから、みなさんお疲れさまとしか言いようがありません。

 グリーン車は確かに料金を払っている人のためのものですが、あの日のような非常事態であれば、自由席券の乗客の中で体調を損ねかねない人が空いた座席に座ることに納得するグリーン車の乗客も多いのではないかと思いますし、当該ツイートがそこまで炎上したことは意外でもあり、恐ろしさも感じました。

 堀江貴文さんのツイートの件は、以前からある「子どもは泣くものだ」「いや、泣かせないように出来るはずだ」という終わらない論争ですが、長時間の国際線フライトならまだしも、2~3時間程度の新幹線でそんなに簡単に薬でコントロールできるものだとは思えません。

 知人の小児科医によれば、検査等のために患児に睡眠薬を使うことがあるけれど、却ってハイテンションになったり酔っぱらいのような状態になったりすることもあり、自分の子どもの公共交通機関移動に使おうとは思わないとのことでした。呼吸抑制等の副作用が車内で起こるほうが結果的に多くの人に迷惑をかけかねませんし、睡眠薬がいいアイデアだとは私は思いません。

申し訳ないと思うのですが…

 先日の新幹線では通路側の座席だったのですが、娘がデッキと通路を上機嫌で行ったり来たりしていて、お隣の方には落ち着かなくて申し訳なかったのですが、座らせて大泣きされるよりはましと思い、娘を甘やかしていました。

 私個人としては子どもが泣くのは当然だから他の乗客の方に迷惑をかけても仕方がないとは思いません。なるべく泣かないようにいろんな絵本やおやつで気を引いたり、ケープの下で授乳したり、デッキに連れて行ったり努力はするのですが、それでも100%親がコントロールできるものではないということをご理解いただきたいです。極力申し訳ない気持ちも表出するようにしているのですが、疲れきってそれもままならない時もあります。でもそれは決して「子連れなんだから仕方ないでしょ」と開き直っている訳ではないことも理解していただきたいです。

 しかし、低用量ピルの話をするとまず「副作用が」と言われるのに、睡眠薬や抗生剤ではそんなことはメーンの話題ではないのが毎回不思議なのでした。

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宋 美玄(そん・みひょん)

産婦人科医、医学博士。

1976年、神戸市生まれ。川崎医科大学講師、ロンドン大学病院留学を経て、2010年から国内で産婦人科医として勤務。主な著書に「女医が教える本当に気持ちのいいセックス」(ブックマン社)など。詳しくはこちら

このブログが本になりました。「内診台から覗いた高齢出産の真実」(中央公論新社、税別740円)。

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49件 のコメント

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子供に睡眠薬は危険でしょう。

にじまま

おとなしい子供として育った私達夫婦の子供は、なかなかのきかん坊でした。それは、私を育てた両親がしつけても変わりませんでした。親がどんなに努力して...

おとなしい子供として育った私達夫婦の子供は、なかなかのきかん坊でした。それは、私を育てた両親がしつけても変わりませんでした。親がどんなに努力しても、ふだんはおとなしくても、言うことをきかない時もあるでしょう。小学生ならいざ知らず、幼児がおとなしくできるはずがありません。
「おとなしい」は「大人しい」と書けるのですから、「子供らしい」は「騒がしい」ということでしょう。

だからといって、子供に睡眠薬は危険です。
普段使っている市販薬も処方薬も、副作用があるのを御存じでしょう。まして、幼児にがMRIをとるときに病院で処方される鎮静剤なんて、要約すると「もしかしたら死ぬかもしれません」といわれるんですよ?
もし万が一、新幹線で周りに迷惑をかけないという理由のみで薬を服用しておとなしくしているお子さんが、自分の近くで急死したら、考えるだけで恐ろしいです。

私も人の子の親として、これからも努力は怠りませんが、それでも迷惑をかけることはあるでしょう。ほとんどの親は努力をしているはずです。そして、手助けをしてくださる方も少なくはありません。いつも感謝の思いでいっぱいです。

ただ、どうか、スマホなどにかまけて放任している親と、努力してもおとなしくしない子供をもった親をまとめて議論するのだけは辞めてください。

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子どもの声

jmk

私は、家の近所の公園で、子どもたちのきゃっきゃと遊んでいる声を聞くと、なんだかこっちも楽しくなります。 もし、晴れているのにシーンとしていたら逆...

私は、家の近所の公園で、子どもたちのきゃっきゃと遊んでいる声を聞くと、なんだかこっちも楽しくなります。
もし、晴れているのにシーンとしていたら逆に気になります。
さらに、それがいつもであったら、ぞっとします。寂しいを通り越して怖いですね。そんなところに暮らしたくないな。
でも、ほんとうにそうなったら・・・。近未来像かも知れません。

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うちの店はお断り

飲食経営者

子供は何様ですか?子供だから、と許されることはないよ。子供だから、騒いでいい、寛容に。 無いよ。全て一人の人として教育すべきだよ。 それを、子供...

子供は何様ですか?子供だから、と許されることはないよ。子供だから、騒いでいい、寛容に。
無いよ。全て一人の人として教育すべきだよ。
それを、子供だから。と認めるか?の論点で、それを認める家族は同じ時間を過ごせ無いよ。
モラルがない。集団、公共性を考えて欲しい。
これも、難しい社会的問題です。社会で考えたい。

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