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石井苗子の健康術

yomiDr.記事アーカイブ

シャンソンを歌う山本リンダさんにびっくり!

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(年頭に決心して新しく始めることがありましたか?)

 年末にちょっとした経験がありました。

 友人の女性がシャンソンを歌うのですが、今年は山本リンダさんと一緒に歌うことになりましたとメールがきて「えっ?」となりました。同姓同名の方がいらしたのか、あるいはあの「うらら、うらら」を一緒にやることになったのかと。念のためメールを返信してみると「いらしたら分かるわよ」とのことでした。

 すると、なんとあの山本リンダさんなのです。シャンソンのお上手なこと。情熱的な歌を何曲も歌われてから、「もともとシャンソンが大好きだったのに、ヒット曲がお色気路線になってしまって…」だったそうです。知りませんでした。

 話し方は落ち着いているし、政治経済にも精通しているし、なによりも驚いたことは、ささやくようなしず~かな話し方なのです。落ち着いた低い声で「それでは聞いていただきます。こまっちゃうナ」といったかと思ったら昔のまんまの「こまっちゃうナ~~あ!」が始まり、もう腰を抜かすほどビックリしました。いったいおいくつになられたのかしらと。

 ラストソングは、「甲子園で必ず演奏してくださることに感謝しています、狙い撃ち」で、もう、うらら、うらら~の大合唱と満場の手拍子の中で踊られるのです。ヒット曲の持つ強さを見せつけられました。

 シャンソンがやりたかったのに、違う曲が先にヒットしてしまい、本来の自分とは違ったイメージが作り出され、若い頃はそのことで悩んだそうですが、歌い続けているうちにまた自信をもって堂々と歌うことができるようになって、今ではすっかり楽しんでいるとか。心からうらやましいと思いました。

 年末の紅白では朝の連ドラ「あまちゃん」のヒット曲『潮騒のメモリー』を、小泉今日子さんや薬師丸ひろ子さんなど、昔の大型アイドルが美しく登場して歌っているし、クイズ番組で女王のように光っていた女優の宮崎美子さんは、同じ朝ドラの「ごちそうさま」で、決しておばあさん役ではない当たり役を射止めたような感じがするし、何かをあきらめずにずっと努力してきた女性たちの春が満開になったように感じています。

 何かを思いきってやめ、新しいことにチャレンジするのも勇気がいるものでしょうが、ずっとやめないで同じことを続けることも努力と忍耐がいります。どちらのストレスが大きいかなんて、分かりません。もっと理解できないのは、何を諦め、何をあきらめずに続けるかを自分で決めることです。

 年が明けて、正月恒例の箱根駅伝をテレビで見ながら、今年は不思議なことを感じました。タスキをはずしながら次の走者に渡すまでのあの苦しそうなランナーの顔、それをまたじっと見守りながら励ましながら待つ仲間の顔。人生に一度でいいからあんな風にバトンを渡すような体験が欲しかった。一度でいいから「がんばれ!もうちょっとだ!」といわれながら誰かに待たれたかった。目の前で待っている仲間がいることを確認して倒れてみたかったと。そう思ったら、箱根駅伝で初めて涙が出ました。

 ここまで長生きしたのに、私は一度も「よくがんばったね!」と背中をなでてもらったことがない。こんなことをいうと、「私だってないわよ」「オレだってないさ」といろいろ反発されるのでしょうが、もしかしたら何かを続けた人だけ、その苦しさが報われるのではないだろうかと思って、もう遅いかと涙が出ました。

 今年は、毎年行く神社にお参りに行ったら、いつもの屋台が今年からなくなっていました。神社の入り口を新しくきれいにしたので、屋台を並べてあれこれ売ることをやめたとか。去年の破魔矢はまやを集めているカゴも以前より小さなものになっていました。 少子化が進み、屋台でお菓子を買って帰る家族も減ったからかもしれません。そういう私の家にも今は子どもがいません。

 階段を上りながら「あ、祈ることが思いつかない」と気が付きました。これまで何十年とこの神社の鈴を鳴らし、そのたびに願い事をかなえてくれていました。もしかしたら、入り口をコンクリートで新しくしたので、神様がどこかにお隠れになってしまったのではないかと、急に焦るような寂しさが襲ってきました。

 2014年、新しい都知事が決まります。今年はうま年。私の干支えとです。もう何も祈ることがない。それだけ欲がなくなったということです。

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石井苗子さん顔87

石井苗子(いしい・みつこ)

誕生日: 1954年2月25日

出身地: 東京都

職業:女優・ヘルスケアカウンセラー

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2件 のコメント

自分の言葉・表現を忘れている.

キド

 社会人としてもう30年が過ぎ去りました.毎年,多くの人と語り,山あり谷あり.毎日,ありとあらゆる事を考えたり思い出したりしてきましたが,まてよ...

 社会人としてもう30年が過ぎ去りました.毎年,多くの人と語り,山あり谷あり.毎日,ありとあらゆる事を考えたり思い出したりしてきましたが,まてよ,自分語って使っていなかったように思える.あなたはどんな人ですか?と問われても説明できないであろうし,こんな時どうしましたかと言われてもこれまた説明できない.
 頭で思考した言葉が,つい喉元まで出てきているのに,スピーカーである口からの表現は全く異なっていることが殆ど.まあ,自分の言語中枢の乏しさに原因があるのだろうが,本心を言わない自分にいつもストレスを感じている.
 最近,周りの会話を聴いていると,00い.といういわゆる形容詞がない表現が多いこと.一般には,うれしい,悲しい,寂しい,悔しい,美しい,かわいい・・・また,正しい,おかしい(間違っている),行きたい,帰りたい,・・とにかくも,自分の気持ち表現が明確な会話が少なくなっている.
 小さい頃から自分よりも周りをみてから合わせなさいね.とはあからさまには教育されてはいないが,いつしか角がない言葉を駆使してきたように思える.酔っても本心には到達していないしこれはもう対処無しだろうなと.
 この寒さに「寒いですか??」とまわりに尋ねたが,返ってきた言葉「いや別に・・」会話にはならないですよね.
自分語を意識して表現したいものです.

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私も泣いてしまいました

ジュリア

あけましておめでとうございます。いつも読ませて頂いていますが、コメントは初めてです。山本リンダさんのお話、いいですね。私は50代半ばで、25年以...

あけましておめでとうございます。
いつも読ませて頂いていますが、コメントは初めてです。
山本リンダさんのお話、いいですね。
私は50代半ばで、25年以上海外在住。日本の歌謡曲は、私にとって遠い存在でしたが、やはり無意識にどこかで記憶しているんですね。
最近10代や20代で聞いていた曲を聞くととても懐かしく、そして皆さんすばらしい歌手だったんだなあと改めて思います。
また大昔、父がお正月の駅伝をそれは楽しみに見ていたのですが、
学生だった私は何がそんなにおもしろいのか不思議でした。
でも年齢を重ねた今、ちょうど今の私と同年代だった父が、楽しみに見ていた気持ちがとてもよくわかります。
最後に、何も祈ることがないという石井さん、とても羨ましいです。
治療法がない病気を持っている私は、祈る機会さえあればいつも神様
に”どうぞこれ以上悪化しないように”と祈ります。
今年も石井さんにとってよい一年でありますように。

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