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オトコのコト 医師・小堀善友ブログ

妊娠・育児・性の悩み

なぜオトコの寿命は短い?

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 皆さん、平均寿命は男性より女性のほうが長いことはご存じですよね。たしかに、私の周りにいるお年を召された方をみると、男性よりも女性のほうが元気のある方が多いような気がします

 なぜ男性は女性より長く生きることができないのでしょうか?

 世界的な医学の流れは、「病気を治す」という問題に立ち向かうよりも、「病気にならないようにする」「老化しないようにする」という健康医学を重視する方向でシフトしていっています。日本でも、抗加齢医学会という学会があり、アンチエイジングに関して研究が進んでいます。

 実は、男性の長寿と健康を研究するための学会が日本にあるのです。その名も「日本Men’s Health医学会」といいます。学会の理事長で、私の尊敬する男性医学の第一人者、熊本悦明先生が以下のように話されていました。

 「基本的な問題点は、やはり男子は女子と違って医学教育を受けておらず、生き物的意識が極めて低く、かなり文化的・仕事ロボット人間的な意識が強い。更年期を過ぎて、生物学的活性が落ちてきていても、健康医学への関心が極めて低く、あったとしてもわずか、性機能中心の問題提起にとどまる感が深い。そのスタンスが自らの自然な健康意識を抑え込んで、健康増進への医学試みへの回避が強く、何故なぜか不自然さを感じているといえる。たとえ医学的意識があったとしても、ただ単純な運動や食生活改善などでお茶を濁している、いわゆる自然派的発想のみが普及しすぎている」


 ちょっとむずかしい言葉もあったかもしれませんが、実に鋭い指摘なのです。簡単にまとめますと、男性は、一般的な健康への関心が低く、行動も伴いにくい、といったところでしょうか。

 もちろん、運動や食生活改善も重要で、否定はされません。でも、もう少し踏み込んだ男性の健康作りはあるのでしょうか?

 一つの答えとして、「男性ホルモン」があります。

 近年、中高年男性に日常的に起きてくるうつ症状、睡眠障害、メタボリックシンドローム、骨折、やる気の消失、認知症などと、男性ホルモンの関係が盛んに研究されています。男性ホルモンの低下で、全身に様々な症状が起こっているという指摘です。男性ホルモンを補充することで、こうした症状が改善する可能性があるのです。

 ただし、研究は進んでも、いまだに男性ホルモン補充療法に対する抵抗が医学的社会的全般にあるのは否めません。

 でも、男性にとって男性ホルモンとは「生き物・男性のエンジンオイル的役割」であると熊本先生は解説しています。

 エンジンオイルは、不足したら補うというのがむしろ自然という考えもありますよね。さらなる男性の健康への研究が進むことはもちろん、私たちメンズヘルスにかかわる医師も積極的に情報発信し、社会の理解を得たい、と思います。そして、オトコが元気に長生きできることに貢献できればうれしい限りです。

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小堀善友 (こぼり よしとも)

泌尿器科医 埼玉県生まれ

2001年金沢大学医学部卒、09年より獨協医科大学越谷病院泌尿器科勤務。14年9月から米国イリノイ大学シカゴ校に招請研究員として留学。専門分野は男性不妊症、勃起・射精障害、性感染症。詳しくはこちら
主な著書は『泌尿器科医が教えるオトコの「性」活習慣病』(中公新書ラクレ)。詳細はこちら

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8件 のコメント

若者よ、次の世はあなた方にかかっている

四朗

 駅前で、年金減額反対の署名活動をしていた。年金生活者としては、何回も署名したい気持ちだった。活動中の男性は郵便局員だという。局には未婚の男性が...

 駅前で、年金減額反対の署名活動をしていた。年金生活者としては、何回も署名したい気持ちだった。活動中の男性は郵便局員だという。局には未婚の男性がほとんどだという。何故、若者が結婚しないかの話しになった。

 かつては「男やもめにウジが湧く」と言った。一人暮らしの男は不精で不潔な環境にある・・のが定説だったが、いま適齢期を過ぎた男でも炊事洗濯はお手の物と聞く。お袋の味を知りたければ、近くのコンビニで間に合う。洗濯が嫌なら、ユニクロが使い捨て下着を提供してくれる。

 先の局員は、「局の独身男性は何一つ不自由はしていない。欲望は金さえあれば充足でき、面倒で気遣いをしなければならない結婚に見向きもしない」という。

 年金減額の源は、働く人が少なくなり、高齢者を支える土台がないから。国がどうあがいても、学者が研究しても、人を造ることはできない。人を産めるのは若者たちだけで、その人たちが結婚しなことには人口は減り、国自体がじり貧になってしまう。

 馬を水辺に連れて行くことは出来るが、水を飲ませることは出来ない。困ったことに、若い男性を若い女性に引き合わせることさえ出来ない世になってしまった。それで子どもを増やせとは、どう考えても理解できない。

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女性が長寿の理由

めざめたじいさん

高齢になって感じているのは、趣味や催し物の会に出て来るのは、圧倒的に女性が多いです。私の所属する合唱団の男女比は1:4、家内の俳句の会も1:5、...

高齢になって感じているのは、趣味や催し物の会に出て来るのは、圧倒的に女性が多いです。私の所属する合唱団の男女比は1:4、家内の俳句の会も1:5、老人会の旅行参加者は1:3。

男は会社の同僚とだけ付き合い、女は近所の人ともお付き合いしていました。男性は会社を辞めると孤独、出不精になる。女性は楽しいことだったら何処にでも行く。
いわゆる人付き合いをするかしないかの差で、引きこもりになるか積極的に人の中に入っていくかの違いがあると思います。

家の中でTV、新聞、PCに遊んでもらう男性。取り敢えず企画された会に出て、友だちが出来る、友だちの友だちともお付き合いが始まる女性。
女性の生き方は、人と交わり楽しくなる、明日の希望もわく、循環は良い方に転がる。これが脳の活性化に、体力、気力、生命力に繋がる・・・のではないでしょうか。

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たまたまなのかな?

ぷかぷか

平均寿命を延ばされている高齢者の方々の働き盛りの時代は女が家庭を守り男が社会に出て働いてきた方が多かったと思います家庭を守る女性も社会の荒波の中...

平均寿命を延ばされている高齢者の方々の働き盛りの時代は女が家庭を守り男が社会に出て働いてきた方が多かったと思います
家庭を守る女性も社会の荒波の中で戦う男性も様々なストレスの中、頑張ってこられたことと思います
家庭を守る女性も、大家族の中 舅姑小姑
かなりのストレスをかかえ、ご苦労されてきたと思いますが、どんなに小さくとも絶対的味方のわが子がそばにいることが、一番の支えだったのではないでしょうか?
「親の背を見て子は育つ」という言葉も、子の傍らで懸命に耐える母親の姿は見えますが、社会に出て荒波にもまれ、理不尽な刃にズタズタになり、やっと家路についても、疲れきってお酒の勢いで愚痴をこぼす父親の姿は社会に出るにはまだまだ時間がかかる子供には、到底理解しえなかったと思います
時にはストレスでボロボロになった父親がお酒の勢いで家族に暴言を吐き、その光景を見た愛する子供がますます遠ざかり、父親の居場所が無くなったとか
我が地も、あの時代に男女関係なく社会の荒波の中で戦っていられた方達は結構早死にされています

そこへいくと、同じく苦しい時代に共に戦ってこられた、農家のご夫婦は結構高齢になられても、お二人ともお元気な方を沢山お見受けします
我が住む県は海から遠く、田畑も急山間地が多い中、たまに手に入る魚も思いっきり塩からいものばかりで、昔は脳溢血が多く、それこそ寿命もワーストから数えたほうが早かったとか
お医者様等、そちらに詳しい方達のご尽力あり、おかげさまで現在は、女性は長寿ナンバー1 男性もナンバー2?とか連日、何かしら長寿の秘訣のテレビ番組あっちこっちで取材しています
やはり、長寿地域はお世辞にも開発が進んだ地域ではありません いまだに、段々畑の中コンビニもスーパーもありません そんな、爺ちゃん婆ちゃんの背中を見習って行こうと思います

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