わいず倶楽部
介護・シニア
お灸…もぐさ香り 体ほんわか
「お
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訪ねたのは、すみれ
灸の種類や効果などの説明を受けた後、まず市販の灸を試した。「押して痛みを感じるところがツボですよ」。西川さんから肘近くにある「手三里」という肩こりのツボの探し方を教わり、参加者は灸を置いた。
火をつけると煙が立ち上り、香をたいたような香りが漂った。数分後、「熱かったら我慢しないで」と言う西川さんに、参加者からは「大丈夫」の返事。「ほんわかする」「火災報知機鳴ったりせんよな」などと言葉が飛び交い、場が和んできた。
続いてもぐさ作り。目の前にひとつまみ置かれた上質のもぐさ。手に取った藤本さんは「柔らかくて綿みたいや」と一言。土のような質感をイメージしていたといい、少し驚いた表情を浮かべた。
乾燥させた焦げ茶色のヨモギを葉と枝に分ける。葉の部分だけをすり鉢に入れ、すり粉木で丹念に回した後、ふるいに。粉を捨て、残った繊維を鉢に戻し、再びする。20分ほど繰り返すと、繊維が白みを帯びてきた。最後にミキサーにかけて仕上げた。
厚さ約5ミリに輪切りしたショウガを手の甲にのせ、その上でもぐさを燃やす「しょうが灸」も体験。「成分が肌にしみ込みます。血液の循環をよくして体の調子を整え、美容効果もあります」という西川さんの説明に、参加した女性の一人は「これが一番効く」と笑顔。ミニコミ紙作りでパソコンを使い、肩こりがひどいという藤本さんも「ほんわかして、気持ちようなった」とうなずいた。(住田勝宏)
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「きゅう師」 10年で1.37倍
8世紀の弘法大師の著書「
厚生労働省によると、国家試験がある「きゅう師」の数は2002年の7万2307人から12年には1.37倍の9万9118人に増加。鍼灸院などの数も2万3145と、10年間で1.65倍に増えている。個人が自宅で灸を楽しむ場合は資格はいらない。
かつて伊吹山(滋賀、岐阜県境)でもぐさの材料となる良質のヨモギが多く採れたことから、現在も周辺で灸の製造が盛んに行われている。
薬局で市販されている灸でトップのシェアを誇る「セネファ」(滋賀県長浜市)によると、最近は花などの香りがするものや、火をつけても煙が出ないタイプの売れ行きが伸びているという。
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藤本さん「お灸には、子どもの頃に近くの子が逃げ回っていた印象しかなかった。やってみると、ほどよい熱さでやけどもなく、全くイメージと違った。体がぽかぽかして気持ちよかった。身近に感じるようになった」