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[藤波辰爾さん]街おこしへ城ツアー企画

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「城を訪れた時に撮影してもらった写真をA4判に延ばし、事務所や自宅で時間があれば眺めています」=吉川綾美撮影

 「徳川家康の生誕地」として知られる岡崎城を訪れたのは今年10月。城の周りを1時間かけ、ゆっくりと散策した。

 「家康時代の石垣や堀が一部残っていて、風格を感じます」。堀のそばに立ち、「この地から天下取りが始まったのか」と、戦国の時代に思いをはせた。

 プロレスの試合で全国を回る日々。会場の近くに城があると、試合前に時間をとり、決まって見に行く。これまでに訪ねた城は、小さな城跡も含め数百か所になるという。

 天守閣に上って街の風景を眺めたり、石垣の築き方を他の城と比べたり――。かつて、どんなドラマが繰り広げられたのか、想像を膨らませることもある。「城は、思いが広がる場所なのです」

 城に興味を持ったのは、中学生の時。修学旅行で大阪城を見学し、その存在感に圧倒された。「いつか全国のすべての城を巡ってみたいと思いました」

 アントニオ猪木さん率いる「新日本プロレス」に参加して、人気レスラーになったのは20代。力強い投げ技で、旋風を巻き起こした。ちょうどプロレスブームで沸いていた時代。ピーク時には年間240試合以上をこなしながら、合間を縫って城を訪れた。「城は、激しい試合が続いても、力を与えてくれる場所でもあるんです」

 30代半ばには、腰を痛めて1年3か月ほどリングから遠ざかった。そんな苦しい時期にも、いくつかの城を訪れて天守閣を見上げた。すると、「痛みや焦る気持ちを不思議と忘れることができました」。

 40代で、思いがけず新日本プロレスの社長に就任した時は、「昔の城主と自分をダブらせた。どうやって城を守ったのかな、と。城の周りを歩いて戦略を考え続けました」。

 2006年、新しいプロレス団体を設立した。今月下旬に60歳を迎える今も、現役レスラーとして年30~40試合をこなす。「昔ながらのプロレススタイルを守り続けたい」。城の石垣を築くように、プロレスの歴史をしっかりと積み上げていく覚悟だ。

 雑誌のホームページで、昨夏から、月1回程度、城紹介をしている。10月に岡崎城を訪問したことも報告した。

 城は人同士をつなげてくれる魅力もあるという。城巡りをするうちに、城好きの仲間との出会いがあり、交友関係が広がった。「城や城跡はどの地域にもあり、初めての人とでも話題として盛り上がりやすいのです」。今年は、福島県内で開かれた「全国城サミット」にもゲスト参加し、魅力を語った。

 今は、知り合った仲間とともに、こだわりの城を巡るツアーを企画し、参加者と城談議をするなどして、城好きを増やすプロジェクトを進めている最中だ。「城の復元や城を核とした街おこしにつながれば」

 城を通じてできるだけ多くの人を元気づけ、城や城跡のある街を盛り上げたいと思っている。「城の魅力を多くの人に知ってもらう活動がライフワークになっています」(小野仁)

 ふじなみ・たつみ プロレスラー。1953年大分県生まれ。16歳でプロレス界へ。海外修業を経て帰国後、数々のタイトルを獲得する。現在は、自らの団体「ドラディション」を率いる。来年1月13日の東京・後楽園ホールのイベントに、長男と初めて親子タッグを組んで出場する。

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