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認知症 明日へ

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[オレンジプラン]早期診断で在宅を支援

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病院・施設との連携に課題

認知症高齢者の自宅を訪問し、話を聞きながら診療する新田医師(左)(東京都国立市内で)

 身近な地域で認知症の早期診断や専門的な支援を行う「認知症医療支援診療所」(仮称)が、来年度から創設される。

 認知症の人と家族の生活を支える地域連携拠点として、国の「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)」の柱の一つに据えられている。9月に全国9か所で始まったモデル事業の現場を取材した。

 「大切なのは、地域の専門職と連携し、早い段階から診断、必要な支援を行い、住み慣れた自宅での生活を支えることです」

 国のモデル事業に取り組む「新田クリニック」(東京都国立市)の新田国夫医師は、認知症医療支援診療所の役割をそう話す。

 同クリニックは、国立市と連携し、4月に認知症の早期対応チームを結成。モデル事業に先駆けて活動を進めてきた。

 チーム体制を敷いて間もない6月。80歳代の女性が「夫が変だ。私が外で男と密会していると暴力をふるう」と、相談窓口に訪れた。対応チームの市保健師とクリニックの医療ソーシャルワーカーが自宅を訪問。症状や生活状況を聞き取り、新田医師が初期のレビー小体型認知症と診断した。病気の説明や介護サービスにつなぐ支援を行い、2週間ほどで状態は落ち着いた。

 在宅生活の維持には、暴言や妄想といった認知症の行動・心理症状が悪化した際の支援も欠かせない。

 9月頃、地域のヘルパーから「認知症の80歳代の女性が突然、夜中に大声で騒ぎ、朝行くと服を脱いでぼう然としている」と連絡が入った。対応チームから訪問調査の報告を受けた新田医師は、高齢者に多い感染症と脱水症状による意識障害の可能性があると判断。訪問して治療を始め、約1週間で症状は軽減した。新田医師は「医療・介護の連携チームが機能すれば、不必要な入院は防げる。こうした危機回避支援も重要な役割だ」と話す。

 認知症高齢者の急増に対応するため、国は認知症疾患医療センターの整備を進めてきた。だが、10月時点で設置数は237か所と、460万人を超える認知症高齢者に対し、圧倒的に少ない。

 そこで国は、同センターの新タイプとして、より身近な地域の中で、早期診断・早期対応や危機回避支援などを担う支援診療所の創設を決めた。来年度から地域包括支援センターに設置される「初期集中支援チーム」と協力することも期待されている。

 だが、課題は多い。連携体制の構築もその一つだ。

 「危機回避支援は、介護施設や一般病院にも必要だが、病院内の治療やケアに口を出すのは難しい」と仙台市でモデル事業に取り組む「いずみの杜診療所」の山崎英樹医師は言う。

 肺炎など体の病気で入院した場合、環境の変化で行動・心理症状が悪化しやすい。認知症の専門知識や対応が十分でないと、長期入院に至ることもある。

 山崎医師は、地域の病院などに出向いて関係づくりを始めたが、入院中の患者に訪問診療するわけにもいかず、模索が続いている。

 支援診療所を担える医師の育成も課題だ。認知症専門医か5年以上の診療実績が要件となる見込みだが、東京都健康長寿医療センター研究所の粟田主一部長は「専門知識に加え、暮らしを支えるケアの視点を持つことが重要だ」と強調する。(本田麻由美、写真も)

 認知症疾患医療センター 全国に認知症の専門医療体制を整備するため、2008年に創設。都道府県ごとに設置する「基幹型」(10月時点で11か所)と、各地域ごとの「地域型」(同226か所)がある。オレンジプランでは、認知症医療支援診療所と合わせて17年度までに計500か所の整備を目指す。

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