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レシピエント移植コーディネーター 患者に寄り添い心の支援

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退院後も継続的に

移植医との連携も大切だ(右はコーディネーターの上遠野さん、左は同久保田さん、中央は医師の笠原さん)(国立成育医療研究センターで)

 移植手術を受ける患者・家族と医療者をつなぐ「レシピエント移植コーディネーター」の認定制度が設立から3年を迎えた。

 全国の病院に、103人の認定コーディネーターがいる。移植医療を受ける患者(レシピエント)に寄り添い、手術の前後だけでなく、退院後の心理的サポートを行うなどその役割は大きい。

 「何でも質問できて、いてくれるだけで安心しました」

 国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)で昨年、長男(1)が肝移植手術を受けた女性はそう振り返る。男の子は、急激に肝臓の機能が失われる劇症肝炎を患い、母親であるこの女性が肝臓の一部を提供した。

 入院前から相談に乗ってくれたのが、同センターのコーディネーター上遠野(かとおの)雅美さんだ。上京し心細さを抱えていた女性に、上遠野さんは何度も病棟を訪れて話を聞いてくれたという。女性は「移植手術はテレビの中の話だと思っていたから、分からないことだらけ。話したい時に近くにいてくれ、元気をもらいました」と話す。

 レシピエント移植コーディネーターは、日本移植学会を中心とする移植関連学会が2011年度から認定を始めた制度だ。日本臓器移植ネットワークにもコーディネーターはいるが、レシピエント移植コーディネーターは、移植手術を受ける患者側を支援する。

 患者や家族は、コーディネーターと長く交流を続けられることで、治療についてより理解できる。多くの人が関わる移植医療チームで、医療者とコミュニケーションをはかり、スムーズに治療を進めることもコーディネーターの大切な役目だ。

 制度ができる前は、それぞれの病院が独自にコーディネーターを置いたり看護師が併任したりと、個別に対応していた。移植を希望する患者が少なくない中、認定制度を作ることで、コーディネーターの資質向上を目指すことにした。

 初年度の11年度に認定を受けた上遠野さんは、もともと集中治療室の看護師。上遠野さんによると、親子間の移植の場合、自身も提供者として手術を受ける親が「自分のことはいいから子どもを救ってほしい」と話すケースが少なくないという。上遠野さんは「提供者の親御さんも患者さん。手術後はちゃんと休んでもらうなど、第三者が言わないと気づかないことも多い」と経験を話す。

 退院後に家族からの相談に乗ることも少なくない。もう一人のコーディネーター久保田智美さんは「1人の患者さん、家族に長く関われる。移植医療は精神的な負担が大きく、継続的な支えが必要」と話す。

 同センターでは、05年11月以降、250人以上の患者が肝移植手術を受けた。同センター臓器移植センター長の医師笠原群生(むれお)さんは「数多くの患者さん、家族の状況を把握しなければならず、大変だが、移植医療にとって欠かせない存在。移植でしか助からない患者さん、ご家族のためにこれからも力になれれば」と話している。(酒井麻里子)

レシピエント移植コーディネーター
 コーディネーターの認定を受けるには、医師や看護師などの国家資格を持ち、5年以上の臨床経験があることや、一定数の臓器移植コーディネーターの経験などが必要となる。
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