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認知症 明日へ

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[オレンジプラン]サポート医 地域をつなぐ

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行政、医師会の協力必要

介護家族らの悩みや相談に助言する「認知症サポート医」の久次米健市さん(左)(神戸市中央区で)

 認知症の人や家族を支えるため、介護や医療の地域連携の推進役として期待される「認知症サポート医」。

 研修を受けた医師は増えているが、実際の活動には個人差や地域差が大きい。認知症に理解のある医師をいかに地域で活用するかが課題だ。

 神戸市で内科医院を開業する医師の久次米(くじめ)健市さん(65)は11月中旬、午前の診療を終えて、「認知症の人と家族の会」の集いに駆けつけた。

 「症状の進行が抑えられているようなので、薬は飲み続けた方がよいですね」

 薬の副作用や介護の悩みなど、集まった家族の質問に丁寧にアドバイスした。

 同会兵庫県支部の依頼を受け、今年4月から定期的にボランティアで参加する。同支部世話人の脇田英二さんは「家族に目線を合わせた説得力のある助言をしてくれる」と満足そうだ。

 久次米さんは2006年にサポート医になった。地域包括支援センターから対応に困るケースの相談を受ける。暴言や暴行などがあり、本人を病院に連れて行くのが難しい場合など、ファクスで連絡を受け、職員に対応を助言する。

 実際に自宅に出向いて診察し、専門医の受診の必要性を判断し、介護サービスにつなげることもある。

 久次米さんは「身近な人たちの不安を取り除けるように役割を果たしたい」と語る。

 養成研修を受ける医師は増えているが、意識には温度差もある。名古屋市内で11月上旬に開かれた研修会には全国から約70人が集まった。内科医の男性(51)は「深い知識を得ないと、家族も含めてサポートできる体制を作れない」と意欲を語る。一方、「地元の医師会に言われて参加した」「連携と言われても、はっきり言って何をしていいのか分からない」と戸惑う人もいた。

 名古屋市でサポート医を務める内科医の黒川豊さん(58)は、地域連携のボランティア団体の運営を担う。家族会や区役所、保健所の職員、民生委員、弁護士ら多職種で構成し、患者や家族が抱える問題の解決に協力する。市民講座や専門職向けの研修も毎月、1回ずつ開く。

 これほど積極的な活動は珍しいが、黒川さんは「介護現場には、『医師に相談しにくい』と感じている人もいる。医師の側も、診療に忙しく、積極的に活動していないケースも多い。でも、養成したら十分生かすことが大事」と言う。

 急増する認知症高齢者に、専門医だけでは対応しきれない。養成に携わる国立長寿医療研究センターの鷲見幸彦部長は「行政や地域医師会などが協力し、活動費用の支援も含め、サポート医を十分活用した地域作りが必要だ」と指摘する。

 具体的に動き出した地域もある。東京都北区は12年度から、サポート医を地域包括支援センターの非常勤職員とし、現在4人が活動する。定期的に意見交換し、職員と顔なじみになって相談を受ける。認知症が疑われる高齢者宅への訪問相談活動も行う。

 研修を受けたものの活動の場がないと感じた同区の内科医、河村雅明さん(59)が区側に提案して実現した。河村さんは「ニーズを把握し、行政側に働きかけることも必要だ」と話している。(野口博文、写真も)

 認知症サポート医 2005年度に国が養成をスタート。内科などのかかりつけ医らを対象に、国立長寿医療研究センターが診断や治療などの研修を行い、認定する。かかりつけ医への助言や専門医療機関との連携、住民への知識の普及などを担う。12年度末までに2500人を養成。厚生労働省の「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)」は、17年度末までに4000人に増やす目標を掲げる。

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