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解雇ルールの見直し議論

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作図 デザイン課・斎藤仁

 解雇ルールの見直しが議論されているそうですが、なぜですか。今のルールはどうなっていますか。

緩和策に批判 見送りに

 「解雇規制の見直し」が、政府の会議などで繰り返し議論になっている。「解雇しにくいことが、衰退産業から成長産業への人材移動を妨げ、経済成長を阻んでいる」として、経済界などが解雇規制の緩和を求めているためだ。

 では、日本の解雇規制とは、どんな内容なのか。

 労働契約法では、「合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない」解雇は無効と規定している。

 「合理的な理由」には、重大な規律違反や違法行為などが該当する。経営悪化で人員削減する場合は、〈1〉必要性はあるか〈2〉配置転換など解雇を避ける努力をしたか〈3〉対象者選定が合理的か〈4〉労働組合などに説明を尽くしたか――の4点が問われる。こうしたルールは、労働者の生活を守る観点から、判例などを積み重ねて作られてきた。

 ただ、個別の事情に左右されるため、最終的には裁判をやってみないと解雇の適否がわからない。このため、経営側からは「基準を明確にすべきだ」「金銭解決も認めるべきだ」などと、見直しを求める声が強い。

 一方、労働組合などは、「安易な解雇を増やし、労働者の生活を脅かす」として、見直しに強く反発している。

 経済協力開発機構(OECD)の調査では、日本の解雇規制の強さは加盟34か国のうち25番目と、むしろ規制が緩い方に入る。しかも、各地の労働局などには解雇に関する相談が年間5万件以上も寄せられており、「不当解雇が横行している」との指摘もある。

 今秋、政府が成長戦略の目玉と位置づける「国家戦略特区」の議論では、雇用契約に明示した条件で解雇を可能にする「解雇ルールの明確化」構想が浮上した。だが、労働者保護ルールの適用除外は認められないとの批判が強く、11月に国会提出された国家戦略特区法案では、紛争予防のため労働法制に関する企業の問い合わせに応じる「雇用労働相談センター」(仮称)の設置などを盛り込むにとどまった。

 成長産業への人材移動は経済再生に欠かせないが、解雇規制の緩和だけ先行すれば混乱を招く。職業訓練の充実など再就職支援策と併せて考えていく必要がある。(小山孝)

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