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診療報酬点数…医療を動かす想定外の影響も

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 2年に1度の診療報酬改定の時期が近づき、医療関係者、財政当局などによる論議がかまびすしくなっています。

 診療報酬は民主党政権下だった過去2回、プラス改定でした。今回もプラスを維持できるのか、6年ぶりにマイナスに転じるのかが関心を集めています。

 ただ、前回はプラスとは言っても0・004%という数字のマジックのような率ですし、そもそもマイナス改定だった2000年代前半においても総医療費そのものは増え続けていました。今回仮にマイナス改定となったとしても医療費全体が膨らんでいくのは確実で、全体の改定率というのは、政府としてどういう姿勢を示すかという象徴的な意味合いの方が大きいように感じます。

 全体の改定率は「政治決着」で決まるのに対し、治療や検査の一つ一つに与えられる個別の点数(1点10円)は、厚労相の諮問機関である中央社会保険医療協議会(中医協)で議論されます。

 診療報酬点数は、全国どこの医療機関でも適用されるわけですから、どの分野のどの治療が引き上げられ、どの治療が引き下げられるかは、医療の内容に大きな影響を与えます。

 たとえば、高い点数がつけられた新しい治療について、医療機関がこぞって実施するようになり、急速な普及が図られる反面、過剰な治療が懸念されるようなケースもあります。また、患者は安い点数の医療を志向したために、改定が本来意図したものとは逆の結果を招くようなケースもあります。

 2006年度に導入された「入院患者7人に看護師1人」という7対1看護は、看護の充実した医療機関に対し、高い入院基本料を与えるものでした。急性期の濃密な治療を行う医療機関であれば看護師の数も必要であるのは当然ですが、現実には7対1達成ありきの医療機関同士による「看護師争奪戦」、「看護師不足」という想定外の事態を招きました。

 全体のプラスマイナスに目を奪われがちの診療報酬改定ですが、その中身にこそ、しっかり目を向ける必要があります。(田村良彦)


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