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地域の民生委員 どんな仕事?

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作図 デザイン課・吉田均

 地域で活躍する民生委員が、近く一斉に改選されるとか。そもそも、どんな仕事をしているのですか?

福祉と住民の「つなぎ役」

 民生委員は、近隣の住民が抱える悩み事などを解決するため、福祉事務所に働きかけたり必要な支援サービスを紹介したりする「地域のつなぎ役」だ。厚生労働相が委嘱する非常勤の地方公務員だが、基本的に無報酬で、地域福祉に取り組むボランティアだ。

 全国で約23万人が活動しており、任期は3年。今年の12月1日に一斉改選を迎える。

 委員の職務について、民生委員法は「住民の生活状態を適切に把握する」「相談に応じ助言する」「福祉サービスの情報提供を行う」などと規定。児童福祉法が定める児童委員も兼ねており、子どもや妊産婦の課題にも対応する。高齢者や障害者を訪問したり、学童の登下校を見守ったりする姿がよく見られる。

 2012年度の統計によると、委員1人あたり年31件の相談・支援に取り組み、165回の家庭訪問や電話連絡を行っていた。活動日数は年130日を超え、3日に1度は仕事をする多忙ぶりだ。

 起源は、1917年に岡山県で生まれた「済世顧問制度」。人格が優れ、慈悲心に富んだ篤志家らが名誉職として住民の貧困防止事業に取り組んだ。その精神は今に引き継がれ、委員の使命感は強い。

 東日本大震災では、被災3県で56人の委員が、安否確認などの活動中に犠牲になった。各委員に電話代や交通費などとして自治体が支給する活動費は原則年5万8200円で、実態は「手弁当」の奉仕活動となっている。

 そうしたなか、最大の課題は「なり手」の不足だ。

 全国民生委員児童委員連合会などの調査によると、委員の約8割を60歳以上の人が占め、女性の比率が高まっている。自営業者や専業農家などが全国的に減るなか、時間に余裕のある退職者や主婦が委任される傾向がみられる。

 だが、オートロックマンションの増加や個人情報保護意識の高まりなどで、住民情報の収集は難しくなっており、孤独死や児童虐待など困難な問題に直面し、任期途中で退任するケースもあるという。

 都市化や人口減少が進み、住民同士のつながりが希薄になり、「つなぎ役」の役割は重くなっている。その人たちをいかに支えていくかも、課題だ。(石原毅人)

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