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いきいき快適生活

介護・シニア

[読み得 介護のツボ]自宅療養中、専門家が助言

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栄養、歯科、薬剤…保険で活用

妻を自宅で介護する男性に、調理方法などを助言する管理栄養士の中村さん(右)(東京都足立区で)

 介護を受けながら在宅生活する高齢者にとって、強い味方となる介護保険サービスの一つが、栄養や歯科、薬剤などの専門的アドバイスを自宅で受けられる「居宅療養管理指導」だ。利点を知って、上手に活用したい。

 「塩分を取りすぎていないですね?」「みそ汁は1日に1杯にしています」。東京都足立区で暮らす女性(64)の自宅で、管理栄養士の中村育子さんが、女性を介護する夫(69)に尋ねていた。食事の内容を把握し、栄養状態を確認するためだ。

 女性は脳梗塞で一時入院し、2006年から自宅で暮らす。糖尿病と高血圧のため食事の管理が必要になり、「福岡クリニック」の医師の勧めで、同クリニック所属の中村さんの指導を毎月受けるようになった。

 このサービスは、介護保険で使える居宅療養管理指導の一つ。低栄養や腎臓病、糖尿病などで食生活に心配のある人が対象だ。適切な栄養量を計算し、本人の好みやのみ込む力、経済状況を踏まえ食事内容を助言する。家庭にある食材で実際に調理して、調理方法や味を覚えてもらう。

 この女性の自宅では、もともと料理経験のない夫が、目玉焼き、ギョーザ、肉野菜いためなどの調理の指導を受けた。塩分を控えるため、味付けにショウガを使うなどの工夫も教わった。

 「介護は長期に及ぶので、負担軽減につながるメニューの提案や、実践的な助言をしている」と中村さん。女性は運動量が減っても体重の増加は抑えられており、夫は「お陰で血糖値や血圧も安定している」と話す。

 食事をおいしく食べるには、口内の状態も大切だ。そのため、歯科衛生士の訪問サービスを活用できる。

 千葉県柏市の歯科衛生士の和田和江さんは、頻繁に肺炎を起こしていた80歳代の男性の家に定期的に通う。高齢で体力が落ちると、のみ込む力も落ち、細菌を含んだ唾液が誤って気管に入る「誤嚥(ごえん)」で肺炎を起こすことがある。男性は口の中が汚れていたため、歯ブラシや歯間ブラシで口腔(こうくう)ケアをし、清潔にした。

 歯磨きの方法も指導。男性は洗面所でふらつく体を支えながら歯を磨いていたが、イスを置き、座って磨くように提案すると、しっかり磨けるようになった。

 のみ込む力は弱った一方、かむ力は十分あるとわかり、食事では「ゆっくりとかむ」よう助言。「家族と同じものを箸で食べたい」という本人の希望がかない、肺炎も起きなくなった。和田さんは、「おいしそうに食べる姿を見て、介護する家族にも励みになる」と話す。

 様々な薬の管理や服用に悩む高齢者には、薬剤師の訪問サービスが役立つ。

 東京都大田区にある「あい薬局」の薬剤師、笠原孝之さんは、のみ込む力が低下して錠剤をうまく飲めない人や、食が細くなり、食後に3回飲むはずの薬を残す人が目立つと言う。

 そうした場合、錠剤をつぶして粉末状にして提供したり、おやつの後に飲むなど、対応策を検討する。薬の効果を丁寧に説明すると、納得してしっかりと飲むようになる人もいる。

 「眠くなる」「気持ちが悪い」など不調を訴える場合は、薬の副作用かどうかを見極めて、薬の中止や変更を医師に提案する。複数の医療機関を受診する高齢者が多いため、薬の重複がないかにも注意を払う。

 「医師と連携し、適した薬を確実に飲めるよう支援している」と笠原さん。

 こうしたサービスは、要支援1以上と認定された人で、通院が難しい場合に使える。医師や歯科医師に必要性を判断してもらい、指示書を書いてもらうことが必要だ。かかりつけの医師やケアマネジャーなどに相談するとよい。

 居宅介護支援事業所「ナイスケア」(東京都新宿区)のケアマネジャー、塩川隆史さんは「薬に不安があったり食の悩みがあったりしたら伝えてほしい。ケアマネジャーから医師につなぐこともできる」と話す。(野口博文、写真も)

 居宅療養管理指導 医師や歯科医師の指示で、管理栄養士・歯科衛生士・薬剤師などが高齢者を訪問し、療養上の注意点などを助言する介護保険のサービス。医師や歯科医師の訪問指導もある。職種ごとに訪問回数の限度と利用料(1割自己負担)が決められている。

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