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介護・シニア

そろばん式脳トレ…手の指動かし認知症予防

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 年を取ると、物忘れが多くなったり、簡単な計算が出来なくなったりするなど衰えを自覚することがある。いつまでも健康な頭脳を保とうと、シニアの男性2人が、珠算教室の経営者が考案した脳トレーニングに挑戦した。

川西さん(左)の指導を受けながら笑顔で脳トレーニングに挑戦する深尾さん(中央)と浜添さん(大阪府豊中市で)=伊東広路撮影

 大阪府池田市の浜添吉市さん(61)と兵庫県宝塚市の深尾悟さん(60)。浜添さんが「最近、人の名前が覚えられなくて……」と言えば、深尾さんも「忘れやすくなって、メモが欠かせません」と不安を口にする。2人とも、そろばんは小学生の頃に授業で習って以来と言う。

 訪ねたのは、大阪府豊中市の珠算教室「わくわくそろばん」。代表の川西一仁さん(44)は大学卒業後、IT企業でシステムエンジニアを経験、7年前に脱サラし、父が経営していた珠算教室を継いだ。

 独自の指導法を開発し、「大人のための珠算教室」や海外展開を進め、よみうり文化センター(千里中央教室)でも教えている。

 川西さんが指導の前に「大人は計算力を上げるより、脳を刺激するのが目標。認知症の予防にもつながり、早期発見の道具にもなります」と効果を強調した。

 最初はそろばんを使ったトレーニング。「5」を示す五玉と「1」を示し4個ある一玉について説明を聞き、「足すときは親指、引くときは人さし指で。決められたルールで動かすことが肝心です」と言われた2人は1桁の足し算、引き算にチャレンジした。最初はゆっくりペースだったが、20分もすると慣れてきた。

 続いて、指をそろばんに見立てて、計算する「そろばん式脳トレ」に取り組み、親指を五玉、他の4本の指を一玉と考えて、加減算に挑戦した。

 「手の指の動きは、大脳につながっています。歌いながらや、音楽を聴きながらすると、より脳の刺激になります。慣れてくると繰り上がり算もできますよ」。川西さんからアドバイスを受けた2人は、慣れない指の動きをマスターしようと奮闘。合間には3人で談笑しながら、1時間の体験を楽しんだ。(真田南夫)

簡単な計算やパズルも効果

 加齢による物忘れは、脳の前頭葉の細胞や神経接続の力が弱くなるのが原因という。効果的な脳トレーニングによって、記憶、判断力、計算、運動など脳全体の機能をつかさどる前頭葉が刺激される。

 特別な方法でなくても、日常生活で脳トレーニングは可能。簡単な計算問題を素早く解くことや、文章を書き、音読することやパズルを解くことは脳に良い刺激になる。塗り絵、粘土細工、陶芸などの創作活動は特に効果的だ。手軽に出来る折り紙も、指先を使うので脳を活性化させる。また、料理もナイフや包丁を扱い、神経を集中させるので効果は大きい。

 電車内のつり広告のコピーや見出し、覚えている電話番号を逆から言う「逆読み」は、画像として記憶することで前頭葉が鍛えられる。一人でする「両手じゃんけん」を繰り返すのも効果的だが、あらかじ決めた片方の手が常に勝つようにすることがポイントだ。

 浜添さん「指を使ったそろばんは、頭をフル回転させて計算するので、20分もすると汗が出てきました。計算の速さが問われないのはよかった」

 深尾さん「最初は、指と頭で考えたことがなかなかつながらなかった。毎日、続けると、効果がありそう。お風呂に入って、歌いながらやってみようと思います」

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