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認知症 明日へ

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[オレンジプラン]当事者の視点で政策評価

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京都府が独自策 意思尊重など10項目

 京都府は10月に、独自の認知症対策である「京都式オレンジプラン」を発表した。国が昨年策定したオレンジプランを地域の実情に合わせて充実させるとともに、目指す社会の姿を、認知症の人を主語にした10項目の「アイ(I=英語で「私」の意)メッセージ」として盛り込んだのが特徴だ。

 「目指す社会の姿を府民に分かりやすく示せた」「大事なのは認知症の人と家族への支援がどう変わったか。そのためには関係者間の連携が重要だ」

 9月24日、京都市内の会議室。医療・介護・福祉の専門職や介護家族ら約30人の「認知症総合対策推進プロジェクト」委員が、京都式オレンジプランの最終案に意見を述べ合った後、皆で拍手をして承認した。

 同プランは、2017年度までの京都府の認知症対策5か年計画だ。昨年策定された国のプランを受け、府と京都市、府医師会など39団体でつくる「京都地域包括ケア推進機構」が同プロジェクトを設け、1年かけて議論してきた。

 最大の特徴は、「京都が目指す姿を『アイメッセージ』で表現したことだ」と、プロジェクト委員で、府立洛南病院の森俊夫副院長(精神科)は強調する。

 介護が必要な府内の認知症高齢者は、25年には現在の1・7倍に達すると推計し、「認知症になっても本人の意思が尊重され、住み慣れた地域で暮らし続けられる社会」を目指すと明記した。それを本人の視点で具体的に表したのが「アイメッセージ」だ。「私は人権や個性に配慮がなされ、できることは見守られ、できないことは支えられて活動的にすごしている」など10項目を定めた。

 英国の国家認知症戦略を参考にした取り組みで、プラン最終年の5年後に、これらの項目に『はい』と答えられるかどうかを検証することで、当事者視点による政策評価ができる。国のプランにはない試みだが、森副院長は「アイメッセージは政策の評価指標でもある。プランを飾り物で終わらせないため、本人や家族も参加して達成度を評価する方法を開発したい」と意欲を示す。

 もう一つの特徴が、行政主導ではなく、医師会や看護協会など医療・福祉団体、大学や弁護士会など関係団体が激論を重ねて策定したことだ。

 基本方針には、発症初期から必要な支援をする「早期対応」や「人材育成」、住民を含めた関係者全員の「認知症の正しい理解」を据えた。これらの方針は国のプランと大きく違わないが、目標に向け各団体ができることを提案し合った。

 その議論から、〈1〉認知症の人と家族に必要な支援をコーディネートできるケアマネジャー育成(目標120人)〈2〉体の病気で入院中に認知症の症状を悪化させないよう支援する「認知症サポートナース」制度の創設(目標200人)――などの独自策が生まれた。

 プロジェクト委員で、「認知症の人と家族の会」京都府支部の荒牧敦子代表は「若年認知症の人への私たちの聞き取り調査結果も反映され、自分たちが作った計画だとの自覚が持てる」と評価する。一般の住民にもできることは多いとし、「将来、自分が認知症になるかもしれないのだから、地域づくりに私たちも役割を担いたい」と話す。

 厚労省によると、独自の計画まで策定したのは京都府のみ。だが、東京都や兵庫県など各地で対策を進める動きが始まっている。認知症高齢者が急増する中、地域の実情に応じた取り組みが本人主体の生活実現のカギを握るといえそうだ。(本田麻由美)

 オレンジプラン 2013年度から17年度までの「認知症施策推進5か年計画」の通称で、昨年9月に厚生労働省が発表した。認知症が重症化し、介護家族が疲弊した末に精神科病院に長期入院するケースが目立つため、発症初期から本人と家族を支援し、切れ目なく必要な医療・介護サービスを提供できる体制の整備などを目指している。

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