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いのちに優しく いまづ医師漢方ブログ

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自分の健康を知る方法(5)風邪を悪化させない

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 日に日に涼しさが増してきます。寒い冬への備えは万全ですか。今年もインフルエンザの季節が、もうそこまで来ています。予防接種はおすみですか。

 職場や電車の中で、くしゃみをする人やせきをしている人がだんだんと増えてきます。多くの感染症に対して、マスクは非常に有効な予防方法です。

 しかし、注意しなくてはいけないのが、マスクの付け方です。どんなに性能のよいマスクを付けていても、鼻の周りや顎のあたりに隙間ができていては、ダメです。隙間からウイルスが侵入してきてしまいます。しっかりと顔にフィットさせることが重要です。

もしも風邪を引いてしまったら

 マスクで予防をしていても、風邪にかかることがあります。こんなときこそ、漢方医学の出番です。有名な「風邪には葛根湯かっこんとう」という落語では、とにかく風邪にかかったら葛根湯ばかり処方する医者の話ですが、実際にはそう簡単ではありません。

 まずは、これまでお話ししてきた舌、脈、おなかの診方を参考にして、自分の体質を見きわめる必要があります。体力がある人、すぐに疲れる人など、体質は様々ですが、漢方医学では、「虚実きょじつ」で体質をはかることができます。

 風邪に使われる漢方薬に、葛根湯、小青竜湯、麻黄附子細辛湯があります。どの薬も即効性があり、速やかに症状を改善してくれます。

 ただ、この3つの漢方薬を有効に使うためには、「風邪の初期」であることがポイントです。「ちょっと首筋がこっている」「なんだか肩が重い」「鼻がムズムズする」「のどの違和感を感じる」など、いつもとちがう自分の体調の変化をいち早く察知して治療を開始することが重要です。もしも、体調の変化を発見できたら、すぐに自分に合った漢方薬を内服します。

風邪の初期によく使われる漢方薬

 

葛根湯
(かっこんとう)

小青竜湯
(しょうせいりゅうとう)

麻黄附子細辛湯
(まおうぶしさいしんとう)


体質


比較的体力がある人(実)


どちらでもない人


体力に自信がない人(虚)


初期症状


首の後ろがはる、肩がこるなど


鼻水がでる、鼻がつまるなど


のどが痛くなる、声が出ないなど


 このとき、かならず白湯さゆで漢方薬を飲むことを忘れないでください。3つの漢方薬はすべて体を温める作用を持っていますので、冷たい水を飲んでしまうとお腹の中から冷えてしまい、漢方薬の作用を弱めることになります。漢方薬を飲んだ後は、できる限り体を冷やさないように努めます。冷たい水で手を洗ったり、裸足で歩いたりはしないでください。

 食事も大切です。風邪の時は元気をつけなくてはと、焼き肉を食べる人がいますが、これは本当に胃腸が丈夫で体力がある人だけにしてください。風邪の時は胃腸も弱っていますので、おかゆや温かいうどんなどにネギやショウガを入れて体の芯から温まるようにされるとよいでしょう。

ペニシリンがない時代からの漢方医学

 わたしたち、人間の歴史は、感染症との闘いと言っても過言ではありません。1929年にペニシリンが発見されるまで、感染症は多くの命を奪ってきました。様々な薬が開発された現在も、世界の各地ではいまだに感染症対策が重要な施策として行われています。

 漢方医学では、ペニシリンがない時代から風邪の治療を行ってきました。今回お話しした3つの漢方薬以外にも、症状に合わせていくつもの漢方薬が準備されています。もし風邪で困ったときは、漢方医学を思い出してみてはいかがでしょうか。きっと、あなたの健康に役立つと思いますよ。

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いまづ医師の漢方ブログ_顔120

今津嘉宏(いまづ よしひろ)

芝大門いまづクリニック(東京都港区)院長

藤田保健衛生大学医学部卒業後に慶應義塾大学医学部外科学教室に入局。国立霞ヶ浦病院外科、東京都済生会中央病院外科、慶應義塾大学医学部漢方医学センター等を経て現職。

日本がん治療認定機構認定医・暫定教育医、日本外科学会専門医、日本東洋医学会専門医・指導医、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医

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1件 のコメント

インフルエンザも一晩で治る漢方

BMW

 今までに自身で2度、2度目はインフルエンザ検査でA型検査後タミフル使用せずに改善しました。 ほとんどの方は8割の確率でこの方法で翌日の朝には3...

 今までに自身で2度、2度目はインフルエンザ検査でA型検査後タミフル使用せずに改善しました。
 ほとんどの方は8割の確率でこの方法で翌日の朝には36.0度の平熱になります。
 葛根湯と牛黄(ゴオウ)朝鮮人参の組み合わせを夜9時から10時いかけて服用する。朝の4時から6時にかけて目を覚ますことが多くその時間にもう一度この組み合わせを服用すると効果的。
熱が下がったからといってもその日はゆっくり休みましょう。多分、体調は良くなってもインフルエンザウイルスをまき散らしていると思われるので、感染を広げないために少なくとも1日は外出を避けましょう。

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