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からだコラム

[体の声を聴く]糖尿病 生活習慣の改善

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 日本人の病気の70%以上が生活習慣病だと言われています。

 1997年の国の調査では、糖尿病および糖尿病の疑われる人は計1370万人。ところが2007年の調査では2210万人と急増しています。医学がこれほど進歩したのに糖尿病が増え続けているのだとすれば、この病気への根本的な発想の転換が必要です。

 2型糖尿病の発症には遺伝子の影響もありますが、それ以上に生活習慣とライフスタイルの欧米化が関与しています。それらには文明、科学進歩、価値観が深く関わり、自然環境の劣悪化や、テレビ、パソコンゲーム、携帯電話、スマホなどの普及、車社会による運動不足、過栄養などは、肥満や糖尿病予備軍を増やす原因になっています。文明を反映する社会・環境システムそのものが、糖尿病の発症に関わっているのです。

 現在の糖尿病治療は薬物療法と食事療法、運動療法が中心です。治療の成功には、食事や運動を含む生活習慣の改善を目指す「セルフコントロール法」を治療の中心に置くことがカギになります。

 50歳代の会社員Dさんは、全身のだるさとふらつきを訴え、私の外来を受診しました。167センチ・メートルの身長に体重は84キロ・グラムと、明らかに肥満。空腹時血糖やヘモグロビンA1c、コレステロール値のいずれも高く、糖尿病と高脂血症が認められました。

 心療内科では薬物療法も行いますが、中心となる治療は、ゆがんだ生活習慣(行動様式)を、より健康な習慣に変容させることを目指す「行動医学」によるアプローチです。一言でいうと、患者自身が自分の「かかりつけ医」になること。Dさんの治療の実際については、次回にお話ししましょう。(清仁会洛西ニュータウン病院名誉院長・心療内科部長 中井吉英)

 

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