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日本犯罪学会100年 影山理事長に聞く(1)児童虐待、「今」を象徴

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 日本犯罪学会が今年、設立100年を迎えた。11月の学会記念大会(東京)では、家族の問題をテーマに公開シンポジウムを行う。学会理事長の精神科医、影山任佐さんに、近年の犯罪に映し出される「心の病理」について聞いた。(佐々木栄)

影山任佐(かげやま・じんすけ)

 1948年、福島県生まれ。東京工業大名誉教授。専門は犯罪精神医学。2012年から同県郡山市の針生ヶ丘病院精神科でストレス外来を担当する。著書に「『空虚な自己』の時代」「エゴパシー~自己の病理の時代」など。


 ――犯罪学会の役割は。

 設立当時から重点を置いてきた犯罪の原因究明と防止、加害者処遇に加え、近年では被害者救済も大きな課題です。犯罪は社会病理現象で、個人の問題であると同時に、社会の問題でもある。精神医学、社会学、法学、心理学など多角的にアプローチし、時代に見合った法や施策に結びつけていきます。


 ――「今」を象徴する犯罪は。

 児童虐待の問題です。殺人件数が全体として減少傾向にある一方で、子供の虐待死はそれほど大きく減ってはいません。大半が両親や継父が加害者になっており、大都市、その近郊での発生率が高い。核家族化が進み、地縁、血縁もない中で、貧困や失業、育児不安のストレスの矛先が子供に向かってしまっている。世代を超えた虐待の連鎖も深刻で、親の愛に飢えた子が親となり、接し方が分からず子をあやめてしまうケースも目立ちます。

 1994年から10年間の児童虐待死事件を都道府県別に分析したことがあります。件数は大阪、埼玉、愛知など大都市が上位を占めましたが、人口100万人あたりの発生率で見ると群馬や茨城など北関東で高かった。自殺率の高い地域は子を道連れにした無理心中が多かった。また、失業率との相関関係も見られました。虐待死の地域ごとの傾向を見極め、発生率を踏まえて防止予算を配分するなど、踏み込んだ対策が必要です。


 ――その他には。

 DV(配偶者や恋人からの暴力)やストーカー、セクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)などは「現代型の犯罪」と認知され、場合によっては刑事事件にされるようになってきています。

 少し前ならば、関係機関が積極介入をためらいがちでしたが、法規制も強化され、被害者救済を最優先に動くようになりました。不十分な点もまだありますが、ようやく少しずつきめ細かな取り組みがなされてきています。一歩前進したと言えるでしょう。

 このほか、パワーハラスメント、アカデミックハラスメントも深刻な問題で、諸外国のような刑罰化を検討する必要もあると考えています。


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