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最新医療~夕刊からだ面より

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子どものMRI検査…呼吸・心停止防ぐ提言

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 小さな子どもがMRI(磁気共鳴画像)の検査を受ける時は、鎮静薬などを使って眠らせることが多い。検査中、装置の中では激しい騒音が続き、長い間じっとしていることが難しいためだ。だが、まれに呼吸停止や心停止が起きることもある。日本小児科学会など3学会は、検査を安全に行うための共同提言をまとめた。

監視の医師ら配置 緊急時の機器準備

 国立成育医療研究センター病院(東京都世田谷区)のMRI操作室。医師や検査技師が、隣で検査を受けている子どもが映し出された薄暗い画面を見守っている。検査の時間は30分から2時間を超える時もある。

 「事故が起きないように細心の注意を払っていますが、患者さんの状態を把握するのは難しい」と検査技師は話す。

 MRI検査は磁力をかけた時の物質の微妙な動きを測ることで、体の内部の状態を映し出す。小学校低学年以下の子どもには薬で眠らせて撮影することが多いが、まれに気道が詰まるなどして、呼吸停止や心停止が起きることがある。

 だが、検査室内には強力な磁力が働くために持ち込めない医療機器が多く、血液中の酸素濃度などを測る限られた検査機器とモニター画面を頼りに、子どもの状態を確認せざるを得ない。万一の事態が起きた時に発見が遅れる危険もある。

 日本小児科学会が2010年に小児科専門医研修施設に行った調査では、回答した416病院中、呼吸停止を経験したことがあるのは73病院、心停止は3病院あった。

 共同提言は、この調査を踏まえた安全対策で、検査中は患者の監視に専念する医師か看護師を配置すること、検査室に持ち込める機械や蘇生措置を行う場所をあらかじめ決めておくことなどを盛り込んでいる。例えば緊急時に慌てて酸素ボンベを持ち込むと、磁力でMRIの装置に引き寄せられ、衝突して事故を起こすこともあるからだ。

 家族には、検査の内容とリスクの他に、薬から覚めて帰宅した後の注意点も説明する。

 帰宅後に眠ってしまう時は、2時間以内に最低1回は起こし、呼吸の仕方などを確認する。食事は、水がしっかり飲めることを確認してから始める。検査後8時間は1人で入浴しない。検査後24時間は、親の目の届かないところで、自転車やスケートボードなど転倒の恐れのある運動や、水泳などはしない。

 呼吸の仕方がおかしい時や、起こしても全く反応しない時などは、急いで救急車を呼ぶ。

 こうした共同提言が作られた背景には、日本のMRIの普及率が世界で群を抜いて高く、しかも年々台数が増えている点がある。例えば米国では、高度な医療機器の導入を規制できる仕組みを持つ州が多いが、日本は医療機関の裁量で自由に設置できる。機械の普及率に比べ、小児科医や放射線科医、看護師など医療従事者の数が少ないという指摘もある。

 共同提言をまとめた国立成育医療研究センター病院の阪井裕一・総合診療部長は「医師がどんなに慎重に検査を行っても、事故は起こりうる。容体の変化を早めに察知し、対応できる態勢作りが必要だ」と話している。(館林牧子)


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