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戸建てで人気「ダブル発電」

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太陽光 燃料電池

パナソニックと東京ガスが販売しているエネファームの最新機

 戸建て住宅に、太陽光発電と家庭用燃料電池「エネファーム」を同時設置する「ダブル発電」が注目されている。

 電力会社に多くの余剰電力を売ることができるうえ、温室効果ガスの削減にもつながるとして人気のようだ。

電気分解の原理利用

 水を電気分解すると水素と酸素に分かれるが、燃料電池はその逆の反応を利用し、水素と酸素を反応させ水を作る過程で発生する電気を利用する装置だ。

 家庭用のエネファームは、都市ガスやプロパンガスなどに含まれる水素を取り出し、空気中の酸素と化学反応させて発電する。火力発電所は排熱や送電によるロスでエネルギーの利用効率が37%程度だが、エネファームは発電で発生した熱をそのまま家庭の給湯用に利用できるため、8割強のエネルギー利用効率を実現している。家族4人の家庭で、年間約6万円光熱費を減らせるとされ、温室効果ガスの排出量も約半分に抑えられるという。震災後、環境保護・省エネ意識の高まりとともに普及し始め、現在(6月末)の設置台数は約6万台だ。

 パナソニックと東京ガスが、4月に発売したエネファームの最新製品は、希望小売価格が199万5000円と従来品より約76万円値下げされた。ただ、値引きや国の助成金(上限45万円)などを差し引いても、設置には100万円以上かかる。

売電量が倍増

 そこで投資資金の回収を早める方法として注目度が高まってきたのが、エネファームと太陽光のダブル発電だ。家庭で使う電力の多くをエネファームでまかなうことで、売電できる太陽光の余剰電力を増やすことができる。太陽光発電設備を持つ戸建て住宅は126万戸(3月末)あり、新たにエネファームを加える家庭もあるという。

 大阪ガスの試算では、家族4人世帯のモデルケース=表=で、「オール電化住宅+太陽光」に比べ、「エネファーム+太陽光」のダブル発電の家では、電力会社に売却できる太陽光の余剰電力量が約2・5倍だ。

 ただし、ダブル発電の場合、国の再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度による太陽光の余剰電力買取価格は通常の1キロ・ワット時38円より7円安い31円になるので、年間の売電収入は太陽光だけの4万8260円に対し、9万7030円と約2倍になる。

 このため大阪ガスでは、ダブル発電を導入した家庭に対し、売電量1キロ・ワット時につき7円分を10年間、現金還元するサービスを行っている。東京ガスも同様に、年間3万5000円まで現金還元する。

 一方、大阪ガスの試算では、ダブル発電の二酸化炭素排出量は「オール電化+太陽光パネル」に比べて年間3・5トン(杉の木250本分の植林換算)削減できるとする。

投資回収には難

 太陽光発電もエネファームも設置時には、国の補助金が受けられる。太陽光が出力1キロ・ワットにつき1万5000円~2万円、燃料電池は最大45万円だが、このほかに独自に補助金を出している自治体も多いので、確認してみるといい。

 ただ、こうした助成を受けても、余剰電力の売電収入で初期投資を回収するには通常10年以上かかる。燃料電池や太陽光発電の関連部品の一部には耐用年数が10年前後といわれる部品があり、追加の補修費用なども含めると、初期投資が回収できない可能性も念頭に入れておくべきだ。

 しかし、こうした機器を導入すれば、家族の環境保護や省エネの意識を高めるきっかけにもなる。導入の際には、そうした点も考慮して検討するのが良いだろう。(愛敬珠樹)

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