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認知症 明日へ

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[地域で暮らす]活躍の場見つけ社会貢献

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啓発イベント参加/清掃ボランティア

支援者や家族に囲まれ、タスキをつないだ松浦さん(手前左)=東京都町田市で

 認知症になっても、周りの人に支えられるだけでなく、社会の中に「活躍の場」を求めようという動きが広がっている。同じ目的に向かって力を合わせたり、一緒にボランティアに取り組んだりする姿からは、「地域の一員として暮らしていきたい」という思いがうかがえる。(滝沢康弘、写真も)

 「応援の声に元気をもらい、走っていて気持ちが良かった。来年も参加したいし、いろいろなことにチャレンジを続けたい」。9月22日、東京都町田市の松浦宏昌さん(76)は大通り沿いの担当区間を走り終えると、笑顔で汗をぬぐった。走る前は、「勝手な道に行っちゃわないかな」と心配していた3人の孫も、一緒に走り、ゴールを喜んだ。

 松浦さんが参加したのは認知症の本人や家族、支援者、地域住民らが駅伝のようにタスキをつなぐ認知症啓発イベント「RUN(とも)」。約7年前にアルツハイマー型認知症と診断された松浦さんは、半年ほど前、認知症であることを周囲に明らかにした。伴走した妻の俊子さん(71)は「自分たちが顔を出して経験を話すことが、後から同じ道を歩く人の役に立つかもしれないから」とその理由を話す。

 認知症の人は、地域で生活していても、接するのは家族や介護関係者などだけになりがち。イベントを主催するNPO法人「認知症フレンドシップクラブ」の徳田雄人(たけひと)理事は「症状が重い人の様子ばかりが認知症のイメージとして広がり、一般の人との交流の壁になってしまっている面もある。まずは認知症の人が活動的に暮らしていることを、同じ地域の人に知ってもらうことが大事」と狙いを話す。

ボランティア仲間とともにJR大船駅周辺を清掃する秋本宏さん(神奈川県鎌倉市で)

 認知症の人や家族にとっては、力を貸してくれる仲間が近くにいることを知る機会にもなる。俊子さんも夫の認知症をオープンにしたことで、「近所の人が気にかけてくれたり、サポートしてくれたりして、地域の力を実感した」と言う。

 RUN伴は今年が3回目。7月25日に北海道旭川市を出発し、週末や連休など16日間、1日約100キロ・メートルのペースで進み、10月14日に大阪市でゴールを迎える。昨年の2倍の約1500人が参加する予定で、その1割前後が本人となる見込みだ。

 「高いところは私に任せて下さい」。神奈川県鎌倉市の大船駅のコンコースで8月4日に行われた「かまくら磨き」。約5年前にアルツハイマー型認知症と診断された秋本宏さん(74)は、脚立の上で雑巾を持った手を伸ばし、タイル張りの柱の表面のほこりや汚れを丁寧に拭き取った。

 この日、参加したのは地元の中高生なども含め約20人。秋本さんら3人の認知症高齢者もボランティアの一人として参加し、モノレールの乗客や買い物客らが行き交う公共スペースで、通路の柱やトイレの壁などを磨き上げた。認知症でも周囲と協力して社会に役立つ活動ができる、というのがイベントの趣旨だ。

 「忘れ物が多く、迷惑をかけるから」とコーラスへの参加は諦めた秋本さんだが、この日は、「みんなでやれば掃除だって楽しい」と先頭に立って体を動かした。

 主催した一般社団法人「かまくら認知症ネットワーク」の稲田秀樹代表理事は「認知症で損なわれるのは、人の持つ機能のうちのごくわずか。残された力を周りと協力して発揮することで、こんなに生き生きとした明るい表情になれる」と強調する。

 <連絡先

 ・NPO法人「認知症フレンドシップクラブ」(http://dfc.or.jp/、ファクス03・4333・0405)

 ・一般社団法人「かまくら認知症ネットワーク」(http://kamakuraninchishou.com/、(電)0467・47・6685)

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