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わいず倶楽部

介護・シニア

疲労に勝つ(4)生活の質向上 寿命延ばす

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 疲労の研究は、国内では1990年代に本格化、基礎・臨床医学分野で進展しました。私たちは2002年、国際会議を欧州で開き、研究成果を披露しました。

 疲労は、すべての人の生活の質(QOL)に関わっています。人工透析患者のうち疲労が多い人は少ない人に比べ、心筋梗塞や脳卒中を発症する危険性が2倍以上という、私たちの調査結果があります。疲労の緩和は病気予防だけでなく、病気の人の寿命を延ばす効果があると考えられます。

 研究のさらなる進展のため、大阪市立大がうめきた・グランフロント大阪(大阪市)に「健康科学イノベーションセンター」を開き、私が所長に就任しました。

 疲れの度合いを知ることができる問診=写真=や疲労度計を体験できるほか、疲労の緩和効果がある食品成分や香りについての研究成果を紹介しています。

 センターは市民の「健康見守り隊」として、定期的に疲労の検診を受けるよう勧め、疲労を減らす効果のある新製品を試してもらうことも考えています。

 「抗疲労」製品の市場は、20年に12兆円を超えるとも試算されており、こうした製品の開発に市民も参加できる仕組みを整えることを、ねらっています。

 市民のQOLを上げ、国全体の生産性を高めることを目指し、さらに疲労学を発展させたいと思います。(講師は、理化学研究所ライフサイエンス技術基盤研究センター長の渡辺恭良さん。連載記事は、新井清美が担当しました)

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