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からだコラム

[体の声を聴く]「ほど良い考え」 腰痛軽く

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 30年間続く腰痛に悩んでいるBさんに、私は宿題を出しました。

 「次回までに、腰痛がひどくなる原因と、軽くなる原因を見つけてきてください」

 痛みが長期間続く慢性疼痛(とうつう)では、痛み自体がストレスになり、心理面や社会面にまで影響を及ぼします。薬を使うこともありますが、治療の原則は次の3点です。

〈1〉

痛みに焦点を当てず、日常生活での行動や考え方の変化に焦点を当てる

〈2〉

「患者自身が自分の主治医」になるセルフコントロールの方向に治療を進める

〈3〉

心と体が深く関係する「心身相関」への気づきが起こるよう援助する。

 

 〈2〉のセルフコントロールの基本は、自己観察と自己評価です。宿題はそれらの実践が狙いで、Bさんの「答え」はこうでした。

 「これまで『腰痛には悪い』と体を動かさず、安静を心がけてきましたが、30分ほど散歩したところ、なんと腰痛は軽くなっていたのです。それ以来、日課に散歩を取り入れました。ところが散歩を2時間に延長した日から腰痛が強くなってしまいました。常にやり過ぎてしまうのが私の癖です」

 Bさんは完全癖で責任感が強く、仕事も趣味も徹底して行うため心身の過労を招く「all or nothing(全か無か)」の考え方の持ち主だったのです。真ん中の「ほど良い考え」ができなかった。

 「ほど良い考えが無理のない行動や生き方になり、腰痛が軽快する」。そのことに気づいたBさんは、腰痛という体の声から心の声に耳を傾けるようになりました。

 医師に頼らず痛みを自分の力でコントロールできることに気づいてから、生活と人生のど真ん中に居座っていた腰痛も軽快し始め、腰痛にとらわれない生活を過ごせるようになっていたのです。(清仁会洛西ニュータウン病院名誉院長・心療内科部長 中井吉英)

 

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