タレント 矢沢心 さん 32
一病息災
[タレント 矢沢心さん]不妊治療(4)会いたくて授かった娘
次があると信じて臨んだ6回目の体外受精。無事に着床したが、大喜びというより「次のステップに進めた」と冷静に受け止めた。「心拍が確認できた」「胎動があった」。それからは、一つ一つ確かめるように過ごした。「この子をおなかの中で守ってあげよう」
夫の魔裟斗さんから「妊娠中は大事な仕事中」といううれしい言葉をもらい、頼れる部分は夫や家族の手を借りた。
2012年6月22日。長女が産声を上げた。陣痛が始まってから、魔裟斗さんがマッサージし、一緒に呼吸もしてくれた。「よく頑張った」と試合後のように笑う魔裟斗さんは、出産の立ち会いで体重が1・5キロも減ったという。
4年の不妊治療を経て、「会いたかったのはこの子だった」と心から思う。流産も経験したが、心身や仕事の状態などから、授かりどきは今だった、とも。
不妊治療をすれば誰でも授かるわけではない。だが、若いからと言って妊娠できるとも限らない。「赤ちゃんはまだ?」「若いからすぐできる」などの言葉に悲しい思いもした。だから、子どもを望む誰かの役に立てたら、と願っている。
娘は1歳。「会いたくて、会いたくて、会いたくて、あなたを授かったの」。そう話そうと思っている。(文・酒井麻里子、写真・伊藤紘二)
◇ ◇ ◇
タレント 矢沢心(やざわしん)さん 32
【関連記事】