文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

社会保障ナビ

yomiDr.記事アーカイブ

国の「若者応援企業」事業とは

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック
作図・デザイン課 武石光央

 国が若者に優しい企業をPRしているようだけど、どんな取り組みなの?

優良認定の中小企業PR

 厚生労働省は4月、若者の採用と育成に積極的な企業を「若者応援企業」に認定し、同省ホームページなどでPRする事業を始めた。若者の就職難が深刻化するなか、優良な中小企業への橋渡しをして、安定雇用につなげることが狙いだ。

 就職難の背景として、若者の希望が大企業に集中し、人手不足に悩む中小企業に向かわない「ミスマッチ」が指摘されている。リクルートワークス研究所の調査では、来春卒業の大学生に対する求人倍率は、従業員1000人以上の企業は0・70倍と狭き門だが、1000人未満は1・91倍と売り手市場だ。

 資金力のない中小企業では、就職支援サイトや説明会などでアピールする機会が少なく、若者に情報が届きにくい。このため、安心感を求めて若者が大企業に殺到し、就職難に拍車をかけている。

 認定制度には、ミスマッチの解消に加えて、ブラック企業対策の狙いもある。異常な長時間労働やパワハラで働かせ、心身に不調をきたすと使い捨てにする企業のことで、社会問題になっている。しかし、定義があいまいなどの理由で特定が難しく、若者が中小企業を避ける原因にもなっている。そのため、若者や大学から、「国が優良と認めた“ホワイト企業”を教えてほしい」との声が高まっていた。

 若者応援企業の要件は、〈1〉過去3年度分の新卒者の採用実績と定着状況〈2〉前年度の有給休暇と育児休業の取得実績〈3〉前年度の残業時間(月平均)など、「働きやすさ」の指標となるデータ開示のほか、「過去1年間に解雇や退職勧奨を行っていない」「過去3年間に新卒者の内定取り消しを実施していない」などの基準を満たすこと。企業からの申請を受けて判断する。

 認定企業は、同省の各都道府県労働局のホームページで公表するほか、求人票や就職面接会で「若者応援企業」と表示できる。7月末現在、全国で2795事業所ある。

 若者と中小企業の双方に役立つ制度だが、認定数は東京都(502)や大阪府(311)で多い一方、神奈川(25)、京都(20)と地域格差が大きい。若者が安心して働ける環境作りに向け、一層の普及が求められる。(大津和夫)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

社会保障ナビの一覧を見る

最新記事