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(1)体と心を襲う苦痛 患者に支援の「輪」

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 「寄り添う医療で暮らしを支える」をテーマにしたフォーラム「がんと生きる」が8月3日、東京都江東区のティアラこうとう大ホールで開かれ、約850人が耳を傾けた。最新の医療情報も紹介しつつ、がんに伴う肉体的な痛みだけでなく、心の痛みや社会的な痛みをどのように支え合えばいいのか、医療従事者や患者、行政担当者らがじっくりと語り合った。(コーディネーターは元NHK福祉ネットワークキャスターの町永俊雄さん)

 主催 読売新聞社、NHKエンタープライズ
 後援 NHK、NHK厚生文化事業団、厚生労働省、東京都、江東区、日本医師会、日本看護協会、東京都医師会、東京都看護協会
 協賛 ツムラ、アフラック

国際医療福祉大学長 北島政樹さん
  慶応大医学部卒。同大病院長、同大医学部長、日本外科学会長、万国外科学会長、日本癌(がん)治療学会理事長、日本学術会議副部長など歴任。2009年より現職。
「緩和ケアパートナーズ」代表取締役・がん看護専門看護師 梅田恵さん
 聖路加看護大大学院博士後期課程修了。看護学博士。淀川キリスト教病院、昭和大病院勤務など経て2009年、同社設立。緩和ケア関連の看護活動を施設を超えて行う。
厚生労働省大臣官房厚生科学課課長補佐 岡田就将さん
 東京医科歯科大医学部卒後、小児医療に従事。2005年に入省、新規薬剤開発のための治験・臨床研究の推進やワクチン政策など担当。
埼玉医科大国際医療センター精神腫瘍科教授 大西秀樹さん
 横浜市大医学部卒。神奈川県立がんセンター精神科部長、埼玉医科大精神腫瘍科教授など経て、2007年より現職。日本サイコオンコロジー学会代表理事。
神奈川県立がんセンター患者会「コスモス」世話人代表 緒方真子さん
 1993年に子宮頸(けい)がん、5年後の98年に肝臓がんの手術を受ける。2002年から同会世話人代表。「患者による患者のための患者会」を目指している。

進行がんも「あきらめない」

北島政樹さん

 町永 がん医療は大きく進歩していますね。

 北島 診断技術が進み、多くの方が自主的にがん検診を受けるようになったことが大きな要因です。  早期のがんが見つかり、医療側は患者の体に負担が少ない治療を行うようになりました。患者に適した個別化治療が進み、進行がんでも、抗がん剤や放射線を使い、治療をあきらめない方向に進んでいます。

 町永 ただ、これまでは治すことばかりに重点が置かれて、患者のつらさにあまり目を向けてこなかったきらいはないですか。

 北島 近年、治療だけでなく、患者の精神的、社会的な問題も含めて、患者と医療者が意思疎通を図るようになってきています。そのためには、医療と福祉が連携して多職種のチームを作ることが大切です。

 町永 大西さんは精神腫瘍科で、がん患者の心の問題に取り組んでいます。

 大西 私は、がん患者専門の精神腫瘍医です。患者は様々なストレスから、適応障害やうつ病などの精神疾患を発症することが多いので、そのような問題の解決を担当しています。

 町永 梅田さんはがん看護専門看護師です。

梅田恵さん

 梅田 全国で400人以上が活動しています。大学院で、がん医療のことや患者がどんなことで困るのかなどを学び、治療をつらくなく受けられるように調整することが主な仕事です。

 町永 がんが見つかると患者はどんな思いですか。

 緒方 誰でもそうですが、死ぬのではないかと思います。それは家族にも友達にも分かってもらえない、非常に孤独な気持ちです。私は最初のがんの手術は米国で受けましたが、現地には患者のサークルがあり、非常に救われました。日本では神奈川県立がんセンターで看護師や医師の支援で会が立ち上がりました。患者は患者によって励まされ、癒やされます。

 町永 国も患者の思いを受け止めようとしています。

 岡田 国では昨年6月、具体的ながん対策のあり方を記した基本計画を見直しました。患者と家族の視点が十分に取り入れられ、実践に着手しています。根治を目指すことは変わりませんが、同時に、患者や家族の様々な痛みを踏まえて政策に取り組んでいます。

 町永 痛みをどう捉えるかは、がん医療の大きなテーマになっています。

 北島 全人的な苦痛の対応のため、それぞれの苦痛を取り除く関連専門職があります。例えば、身体的苦痛は緩和医療医や麻酔科医、そして精神的な苦痛は精神腫瘍医、社会的苦痛に関しては、拠点病院の相談センターにいるソーシャルワーカーや臨床心理士が、就学の問題や家庭の問題など様々な相談に乗っています。

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