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中高生のネット依存 LINE、ゲーム夜中まで

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ラインの画面を示す成城墨岡クリニックの墨岡院長。ラインを夜中までやめられない中高生が多いという

 ゲームや通話アプリなどに夢中になりすぎる、中高生のインターネット依存が問題になっている。専門家は、たばこや薬物と同様に依存性が強いと指摘しており、カウンセリングで治療する医療機関もある。(加納昭彦)

専門外来 親からの相談増加

 「睡眠、トイレ、風呂以外はパソコンの前でした」

 東京都の女性(24)は中学2年だった14歳の時、オンラインゲームにのめり込んだ。インターネットを通じ、多人数が同時に遊べる。ゲーム上で一緒に敵と戦ったり、会話したりできる。

 きっかけはいじめ。机に「死ね」と書かれるなどの嫌がらせで学校に行くのが怖くなった。煩わしい人間関係から逃れられるゲームに夢中になった。昼夜逆転の生活で、1日10時間以上、パソコンの前にいた。

 そんな生活が続いた女性に転機が訪れたのは、18歳の時。転校した通信制の学校で、自分を理解してくれる教師や友人に恵まれ、次第にゲームから離れられるようになったという。

 ネット依存について、国内では医学的に病気かどうか議論がある。しかし、世界保健機関(WHO)は2015年に改訂する国際疾病分類で、初めて正式に病気と認定する見通しだ。

 国内では数少ない、ネット依存の専門外来のある国立病院機構・久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)の樋口進院長は「ネットは、薬物やたばこと同じように依存性が強い。日本では、その認識がまだ欠けている」と指摘する。

 外来は11年に始まった。治療はカウンセリングが中心で基本的に薬は使わない。これまでに160人が訪れた。7割を中学生から大学生が占める。14年1月まで予約はいっぱいだ。

 子どもがオンラインゲームにのめり込んでいるという親からの相談が最も多い。患者の多くは、体力や視力の低下、骨粗しょう症など身体の症状だけでなく、睡眠障害など精神面での症状も表れている。

 同センターは、こうした患者がネットから離れる時間を作るための活動も行っている。卓球などの運動をしたり、絵を描いたりするもので、ネット上ではなく現実の世界で楽しみを見つけてもらうのが狙いだ。

 ネット依存に苦しむ患者同士が「10時以降はネットに触れない」など、それぞれの取り組みを紹介するミーティングも行っている。

 一方、最近問題になっているのは、スマートフォン用の無料通話アプリ「LINE(ライン)」などSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)だ。会話をとぎれさせて仲間外れにされたくないなどと、夜中まで続けている中高生が多いという。

 ネット依存の専門外来がある成城墨岡クリニック(東京都世田谷区)には、こうした生徒の親からの相談が後を絶たない。今年の初診患者は180人を超えた。相談は年々増加傾向という。院長の墨岡孝さんは「スマートフォンを購入する前に親子で『食事中は使わない』などと約束しておくことが大切」と指摘。依存している子どもには、「行動を顧みるため、日記をつけることも効果的」と話す。

 講演などで、ネット依存への注意を呼びかけている遠藤美季さん(53)は「学校の授業で、ネット依存について考える機会を作ることも大切」と指摘している。

中高生のネット依存
 厚生労働省の研究班は8月、インターネットへの依存が強いとみられる中高生は全国に約51万8000人いるとする推計値を初めて発表した。昼夜の生活が逆転するためか、依存の強い中高生の6割は睡眠の質が悪かったほか、2割は寝付きが悪かった。
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