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海原純子のハート通信

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「スーパーウーマン症候群」と「女丈夫症候群」

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 頑張りすぎは、男性だけでなく、女性にもみられます。かつて1980年代後半、日本でも男女雇用機会均等法が施行されたころ、私はクリニックで診療していて、「仕事も期待されているから頑張らなくては。でも、家のこともきちんとすべてやらないと女性として失格」という思いで体調をくずしたり、心のバランスをくずしたりした、20代後半から30代の女性たちと多くかかわってきました。

 その当時、ちょうど米国では「スーパーウーマン症候群」という本が話題になっており、日本でも「頑張り過ぎ」女性が注目を浴びるようになったものです。九州大学の細井昌子講師は、日本の頑張り過ぎ女性、特に幼少期に明治生まれの両親に育てられ、男尊女卑の社会的観念のもと、家事を強迫的に行ったりするなどで心に葛藤を持ったまま、体に痛みを感じるという症状の女性たちを、「女丈夫症候群」と名付けています。

 すなわち、人に甘えられない、断るのが苦手、人からたよられることで自分の価値を感じる、今この瞬間を楽しめない、などの特徴があり、過剰に活動し、休息がないことの結果、交感神経過緊張となり、体に症状をきたすということです。

 日本精神衛生会広報誌「心と社会」の最新号の細井先生の投稿は、こうした女性にはオーダーメイドの治療が必要と書かれていましたが、確かに、生き方をベースにした心身の不調は単に体の痛みを止めるだけでなく、その方のこれまでの環境を含めた人生の受け止め方、もののとらえ方を含めたアプローチが必要だと思われます。

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海原純子ブログ_顔87

海原 純子(うみはら じゅんこ)

1976年東京慈恵会医科大学卒業。日本医科大学特任教授。医学博士。2008-2010年、ハーバード大学及びDana-Farber研究所・客員研究員。現在はハーバード大学ヘルスコミュニケーション研究室と連携をとりながら研究活動を行っている。

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