胆嚢を摘出する腹腔鏡下手術 入院期間はどのくらい?
胃に不快感を覚え、胃腸科を受診したところ、CT(コンピューター断層撮影)と超音波による検査で胆嚢に直径2ミリくらいの胆石が20個ほど見つかりました。胆嚢を摘出する腹腔鏡下手術を勧められました。手術した場合、何日くらいすれば退院できるのでしょうか。退院後、日常生活で支障が出るような症状が表れることはありますでしょうか。重さ20キロのスーツケースを持って海外旅行に行けるようになるまでには、手術後、何日かかるのでしょうか。(75歳男性)
手術後3~5日での退院が一般的 ただし、入院が長引くケースも
胆石症に対する腹腔鏡下手術はおなかの傷が小さいために、通常の開腹手術に比べて術後の回復も早く、3~5日で退院できるのが一般的です。ただし、ご質問にある直径2ミリくらいの小さな胆石が多数ある場合には、胆嚢とつながっている管(総胆管:肝臓で作った胆汁を腸に送り込む管)の中に石が落ち込むことがあります。その際には、この石も取り除くことが必要です。それにはいくつかの方法があり、どの方法がとられるかにより、入院日数が長くなることもあります。
胆嚢の主な役割は、肝臓でできた胆汁を一時的に胆嚢内に貯めて、胆汁を濃縮することです。そして、濃縮された胆汁を腸の中に送り込み、食物の消化吸収を助けます。手術で胆嚢が摘出され、胆嚢が無くなった状態では、胆汁は濃縮されにくくなりますが、そのために食物の消化吸収障害や日常生活への支障は通常はほとんどないと考えていただいてもよろしいでしょう。
大きな傷での開腹手術後には重い物を持ち上げることにより、おなかの傷が開くことを避ける意味から、約6週間は重いものを持たないよう助言しています。しかし、腹腔鏡下手術ではおなかの傷は小さいので、重いものを持つことにより傷が開くリスクはかなり低いといえるでしょう。おたずねの術後の重いスーツケースを持っての海外旅行は可能と考えます。ただし、個人差がありますので、主治医とよくご相談の上、旅程を立てられることをお勧めします。(日本専門医制評価・認定機構協力)