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「再生」探る商店街 100円均一や復興支援で
郊外の大型店に押され、苦戦が続く地域の商店街だが、にぎわいを取り戻そうとねばり強い取り組みが行われている。
「100円均一コーナー」を設けたり、東日本大震災の復興支援市を続けたり。地域のコミュニティー拠点としての役割もあり、活性化への模索が続く。
新潟県見附市の今町地区で8月下旬、「100円商店街」というイベントが初開催された。33店加盟の「今町ホームスタンプ会」から19店が参加。手作りクッキーや総菜、子ども用草履など、お薦め商品が100円均一で売られた。気軽に買い物をして回り、商店街に長居してもらう狙い。5店分のスタンプで商品券が当たるスタンプラリーも行われた。
1日限りの催しだったが、各店の客数はふだんの2~3割増。3人の子どもを連れて訪れた市内の主婦は「ほとんど来る機会がなかったが、思ったよりも多彩な店がある。子どもたちも喜んで買い物をしました」と話す。同スタンプ会会長の斎藤彰一さん(63)は「予想以上に初めて来る人が多かった。10月に2回目を行う予定で、定期的なイベントに育てたい」と意気込む。
100円商店街は、山形県新庄市のNPO法人「アンプ」が2004年に企画したのが始まり。継続的に開催することで商店街の客が増え、空き店舗が出ることに歯止めがかかるなどの効果が表れたという。評判を受けて全国に広がり、見附市で108か所目となる。
アンプ代表の斎藤一成さんは「各店の個性やアイデアが生かせる。楽器店で100円で演奏体験できたり、商店街の中にある寺で写経体験したりと、提供されるのは商品にとどまりません」と話す。
東日本大震災の復興支援が、活性化につながった例もある。
東京都大田区のウィロード山王商店街では毎週土曜日、休憩所を「石巻マルシェ」とし、鯨大和煮や仙台みそなど、宮城県石巻市の特産品を販売している。震災直後、同市に義援金を送ったのを縁に、11年11月に「息の長い支援を」と踏み切った。
石巻出身者が売り場を手伝ったり、友人を誘ったりと、マルシェは商店街の新名物に。同商店街振興組合理事の高野雄二さん(44)は「店の後継者難もあり、商店街全体が高齢化していたが、若い人が増え、活気が戻った」と喜ぶ。
高校生の視点を再生に生かそうと模索する動きもある。富山県滑川市の県立滑川高校商業科の生徒39人が8月下旬、東京のにぎわっている商店街9か所を視察。視察後は、「若者が入れるカフェがほしい」「明るい雰囲気のBGMを」といった意見が出た。10月までに改善策をまとめ、地元の商店主らに提言する予定だ。
中小企業庁の商店街実態調査によると、商店街の空き店舗率は12年11月で平均14・6%と、9年前(7・3%)より倍増している。
地域振興にくわしい野村総合研究所(東京)上席コンサルタント、名取雅彦さんは「商店街は、買い物の場だけでなく、地域の顔、まとまりの基盤でもある。若者や外部の人間の力を借りるなどし、ねばり強く再興を図るべきだ」と話している。(田中左千夫)
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