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山口デスクの「ヨミドク映画館」

yomiDr.記事アーカイブ

抗うつ薬は怖い? ~サイド・エフェクト

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 私がこのブログを書く際に心がけているのは、次のようなことです。

1.

どんなに医療・健康のネタが書けたとしても、おもしろくないと思った映画は取り上げない。

2.

読んだ人が「この映画、見たい」と思ってくれるような記事を書きたい。

 難しいのは、「ネタバレ」への注意。映画の中身を書く以上、どうしてもネタバレに当たることを書かざるを得ないのですが、映画のおもしろさが損なわれない範囲にとどめるようにしています。

© 2012 Happy Pill Productions.

 でも、今回ご紹介する映画は、ネタバレしないでおもしろさを伝えるのが難しい。「サイド・エフェクト」(2013年/米国、9月6日全国公開)。監督は、「セックスと嘘とビデオテープ」「トラフィック」「オーシャンズ11」(同12、13)など、幅広いジャンルの作品を手がけるスティーブン・ソダーバーグ。タイトルの意味は「副作用」。ズバリ、薬の副作用を題材にした心理サスペンスです。

 ストーリーは、試写会のプレス資料から一部引用します(おもしろさが減ると思われる部分は、以下、○○という具合に伏せ字にします)。

 28歳のエミリー・テイラー(ルーニー・マーラ)は、最愛の夫マーティン(チャニング・テイタム)をインサイダー取引の罪で収監され、幸福の絶頂から絶望のどん底に突き落とされた女性。その数奇な人生はマーティンの出所によって好転すると思われたが、夫の不在中にうつ病を再発させていたエミリーは、度重なる自殺未遂を犯す。

 エミリーに同情した精神科医バンクス(ジュード・ロウ)は、「アブリクサ」という新薬を処方するが、薬の副作用によって夢遊病者になった彼女は、○○を殺害してしまう。主治医の責任を問われ、キャリアも家族との生活も失いかねない窮地に追い込まれたバンクスは、独自の調査に乗り出し、殺人事件の背後に渦巻く衝撃的な真実に迫っていくのだった……(アブリクサは架空の薬ですが、それ以外は実際に使われている薬剤名がバンバン出てきます)。

© 2012 Happy Pill Productions.

 うつ病。度重なる自殺未遂。そして薬の副作用による殺害。これを読んだだけで、製薬会社の人(特に抗うつ薬のメーカー)や精神科医は興味を持ったのではないでしょうか。

 なぜなら、こうした抗うつ薬の副作用は現実に起こりうることだからです。

 読売新聞は、2009年5月の紙面でこんな記事を載せています。

 抗うつ薬を服用した患者に、他人に突然、暴力をふるうなど攻撃性が増す症状が表れたとの報告が約40件寄せられたため、厚生労働省は8日、「因果関係が否定できない症例がある」として、使用上の注意を改訂することを決めた。



 そして、現在使われている代表的な抗うつ薬SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)の添付文書にある「使用上の注意」を見ると、こんなことが書かれています。

 不安、焦燥、興奮、パニック発作、不眠、易刺激性、敵意、攻撃性、衝動性、(中略)等があらわれることが報告されている。(中略)これらの症状の増悪が観察された場合には、服薬量を増量せず、徐々に減量し、中止するなど適切な処置を行うこと。



 SSRIについては、24歳以下の患者で自殺願望などが起きる危険性が高まる、という報告もあり、これも添付文書で注意が促されています。

 監督のスティーブン・ソダーバーグは、こうした精神医療界、製薬業界の現実をうまく取り入れ(逆手にとって?)、誰もが楽しめるサスペンスに仕上げました。

 誤解のないように付け加えておくと、抗うつ薬の服用でこれらの副作用がまれに起きることがあるとは言え、だれにでも起こるわけではありません。私の身近にも、抗うつ薬のおかげでうつ状態から解放された人は複数います。上手に使えば、うつを改善できることは多いし、過剰に危険視する必要はないと思います。

 一方で、抗うつ薬を飲み続けてもなかなか効果が表れない人や、再発を繰り返す人が少なくないのも事実。薬は万能ではありません。うつ病を治すには薬物療法だけでなく、認知行動療法などの精神療法(心理療法)を組み合わせたり、家族や地域、職場の支えを強化したりすることも必要です。

 さて、エミリー役のルーニー・マーラは、「ドラゴン・タトゥーの女」で演じた、入れ墨とピアスだらけの主人公リスベットとは違い、一見、普通の女性。最初は、「あら、この人、こんな顔だったんだ」と、ずいぶん違った印象を受けました。でも、映画が進むにつれ、はかなさと○○○○さを併せ持つ複雑なキャラクターが浮き彫りになってきます。やはりこの女優、ただ者ではない!

 終盤では、「ほ~、そういうことだったのか~!」とオチに納得。いちばん最後に○○○○がポツリとつぶやくセリフは、なんだか意味深です。…ていうか、実は意味がよく分かりませんでした(苦笑)。

 機会があれば、もう1回見たい映画です。

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山口デスクの「ヨミドク映画館」_顔87

山口博弥(やまぐち ひろや)

読売新聞医療部デスク

1987年 早稲田大学法学部卒、読売新聞入社

地方部、社会部などを経て1997年から医療情報室(現・医療部)。

趣味は武道。好きな映画は泣けるヒューマンドラマとアクションもの。

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4件 のコメント

性質が変わっただけなのでしょうね

日々是感謝

お返事ありがとうございました。お薬については主治医へどんどん相談なさっていいと思います。皮膚の異常についても報告したほうが宜しいのでは?歩いてい...

お返事ありがとうございました。

お薬については主治医へどんどん相談なさっていいと思います。皮膚の異常についても報告したほうが宜しいのでは?

歩いていらっしゃったのですね。
旅行にも行っていらっしゃるし。
体力と相談しながら無理のない旅程や距離でいいんじゃないでしょうか。

あとは性のことが、うまく理想の形で実現するといいと思っています。あれもこれもと欲張っても気持的にきびしいでしょうから、これはこれと分けて考えたほうが今はいいのではないでしょうか。

燃え尽きたのではなくて、炎をあげて燃えていたのが今は高級な炭としてじっくり燃えているのではないでしょうか。勢いのある炎にない火力があるから、それに気付くまでしばし待つゆとりの時期なんでしょう。

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クスリを減らすタイミング

めざめたじいさん

日々是感謝さん抗うつ薬2種類でています。朝晩1,夜1です。これまで夜1にしたのは2ヶ月前でした。申告で朝晩を0にしたら眠れなくなりました。無理し...

日々是感謝さん
抗うつ薬2種類でています。
朝晩1,夜1です。これまで夜1にしたのは2ヶ月前でした。
申告で朝晩を0にしたら眠れなくなりました。
無理して減らさなくてもいいでしょうと言われました。
4ヶ月前までは睡眠導入剤を使っていました。

副作用もあるようで、湿疹がひどく困っています。でも、はっきり副作用と決められないので、先生には黙っています。

歩け、歩け、を心がけています。これまで自転車を使っていましたが、急用以外は使いません。

海外は無理ですが、旅行は年2回ほど、2泊3日同じホテルを使っています。

昨年は仙台、金沢。今年は鎌倉・宮嶋です。宮嶋は3泊したら家内がストライキ。疲れて歩けない、気分転換がとんでもないことに。
涼しくなったら天橋立に行くつもりです。

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順を経て最終的には旅行とおしゃべり

日々是感謝

こんにちは。突然ですけど、抗うつ薬って何種類でてますか?昼2種類、寝る前1種類とか・・・処方箋をだしている医師に相談でしょうね。薬が効き過ぎても...

こんにちは。
突然ですけど、抗うつ薬って何種類でてますか?
昼2種類、寝る前1種類とか・・・

処方箋をだしている医師に相談でしょうね。
薬が効き過ぎてもよくないし。
漢方と組み合わせるとかもあるし。

あとは歯科検診でかみ合わせをチェックもいいです。
歯科用のガムを噛んで、歯根膜を刺激して、その刺激を脳へ届けるのも健康にいいそうです。

お大事といいたいのですが、歩け歩けもいいそうです。
ちょいと海外へなんかもいいと思います。
経度腺で時差をみて体内リズムがあう地域とか。
季節が反転して時差がないオセアニアとか。
いろいろとありますから。

できないと思うより、プランだけでも考える、話し合う。
女性なら話をするというのが必須だと思います。
おもいつくままのコメントですので、失礼がありましたら、ご容赦の程お願い申し上げます。

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