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「医療対話推進者」育成スタート 患者目線、心配事に対応

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原因、背景分析して現場改善

 「医療対話推進者」という役割の病院スタッフを育成する研修制度が今年度、全国でスタートしました。患者や家族のさまざまな困りごとを解決する“切り札”になるでしょうか。

 ――どんな仕事ですか。

 「医療対話推進者には二つの役割があります。一つは、患者や家族が抱いた疑問や不安、不満を受け止める『よろず相談』です。院内の相談窓口に1人以上配置され、患者目線で対応することで、患者側の満足度が高まることを目指します。院内にいて、精神的にも立場的にも最も患者に近い存在と言えます」

 「もう一つは、寄せられた相談や苦情の原因、背景を考え、医師や看護師、薬剤師、医療ソーシャルワーカーなど他のスタッフと連携しながら、改善に努める役割です。いわば、コミュニケーションを支援する専門家。患者と医師、医師とスタッフ、組織と組織などをつないでいきます」

 ――患者や家族はどんな時に相談できるのですか。

 「診察や治療などの医療行為以外であれば、困ったことなら何でも相談が可能です。高額療養費制度など医療制度に関すること、薬を飲み忘れた時の心配、待ち時間の長さへの苦情、医師の説明や言動についての不満などさまざまあるでしょう」

 「医療対話推進者が自分で答えることもあれば、院内で調整してから回答する場合もありますが、その際もしかるべき所につなぐので、あちらこちらの部署をたらい回しになることはなくなります」

 「患者サイドに立った存在なので、手術や治療で医療事故が疑われる時も、推進者が最初の窓口になります。院内の医療安全管理者らと連携し、患者側への説明の場に同席したり、何が分からないかを整理する手伝いをしたりします」

 ――なぜ、推進者を育成するのですか。

 「1999年、横浜市大病院で起きた患者取り違え事故をきっかけに、社会の医療不信が強まり、医療側と患者側の間のコミュニケーションの大切さが認識されるようになりました。ささいなすれ違いから、信頼関係は崩れていきます。よい関係が築けていなければ、トラブルや事故が起きた際も対立するばかりで、互いに歩み寄り、対話をすることもできません」

 「このため、昨年の診療報酬改定で、患者相談業務を経験した人材を窓口に配置し、幅広く丁寧に対応できる体制がある病院に対する評価として、『患者サポート体制充実加算』(入院患者1人当たり700円)が新設されました。ここでいう『人材』は、医師や看護師など医療有資格者だけでなく、事務職員も含みます」

 「こうした患者へのサポートをさらに進めるため、厚生労働省は『医療対話推進者』という役割を設け、今年1月、業務や養成研修に関する細かな指針をつくりました。今後、加算を受ける場合、事務職員は、同省が認めた日本医療機能評価機構などの団体で、通算して20時間以上、または3日程度の研修を受けます。医療有資格者も『受けることが望ましい』とされています」

 ――どんな研修ですか。

 「例えば、患者や家族への対応では、〈1〉医療側に不安や苦情を相談する際の患者らの心情を学ぶ〈2〉患者・家族と医療者の対話を進める力を身につける〈3〉治療方針について、より良い自己決定をするための支援方法を習得する――など。医療安全や院内の体制整備に関する知識も必須です。実践能力を磨くため、少人数に分かれての実務演習やワークショップ、グループワークなどにも力を入れます」(鈴木敦秋)

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