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チョコレート嚢胞 摘出すべきか

 10年前に右の卵巣が5センチほどのチョコレート嚢胞(のうほう)と診断されました。経過観察中で今は約3・5センチ。卵巣がんになる危険性が高いと聞きましたが、摘出すべきでしょうか。(40歳女性)

定期的な検査で経過観察を

小林 浩 奈良県立医大産婦人科教授(奈良県橿原市)

 月経の血液(経血)は通常、膣から体外に排出されますが、一部の経血は卵管からおなかの中に逆流します。この経血には、はがれた子宮内膜組織も含まれており、これが卵巣や腹膜に付着した結果、一部の女性に子宮内膜症が起きます。特に卵巣に発生して血液がたまった状態を、卵巣チョコレート嚢胞と言います。

 日本人の場合は、卵巣チョコレート嚢胞になると、0・72%の確率で卵巣がんになることが疫学調査で報告されています。

 どのような方ががんになりやすいかというと、〈1〉45歳以上〈2〉卵巣チョコレート嚢胞のサイズが大きい(通常6センチ以上。それより小さくてがん化する場合も)〈3〉短期間で大きくなった〈4〉卵巣チョコレート嚢胞内に盛り上がった病変が発見された〈5〉月経期以外で腫瘍マーカーの「CA125」が急上昇した――などが当てはまる人です。

 また、生理痛がなくても、がん化しにくいということはありません。

 もし、絶対にがんになりたくなかったら、子宮と卵巣を全部手術で摘出しなければなりません。しかし、卵巣チョコレート嚢胞を含んだ子宮内膜症は、月経がある女性の10人に1人います。全ての患者が手術を受けることはありません。

 主治医の先生とよく相談し、定期的に超音波検査(エコー)を受け、〈1〉~〈5〉をチェックしながら経過観察していくことが必要です。なお、がん化は閉経後にも起こりますので、閉経後も経過観察は必要です。

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