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講演(1)妊娠・出産の専門家なんていない

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 産婦人科医の宋美玄さんを講師に招いたヨミドクター有料会員限定セミナー「女医が教える ゆる出産、ゆる子育て」が6月3日、東京・銀座の読売新聞東京本社で開かれ、赤ちゃんを連れた母親らが集まりました。内容を詳しく紹介します。


宋美玄(そん・みひょん)さん
 産婦人科医、性科学者。1976年、神戸市生まれ。川崎医科大学講師、ロンドン大学病院留学を経て、2010年から国内で産婦人科医として勤務。テレビ番組のコメンテーターや雑誌でも活躍中。主な著書に「女医が教える本当に気持ちのいいセックス」(ブックマン社)など。



 最初に、一番大切なことは、妊娠・出産・子育ては特に誰が専門家ということはないということです。ただ、いろんな情報が出回っています。私の患者さんもインターネットで情報を集める人が多いのですが、どれが本当の情報なのか、吟味すべきです。

 今までの人生って、勉強とか仕事とか受験とか、頑張ったら実る、ということがあったと思います。ですが、妊娠や子育ては、努力してもコントロールできるところが少ない。ある程度は「天任せ」です。ところが、何かよくないことがあると、すぐ「私の何が悪かったんでしょうか?」と話す方が多いのですが、「もう本当に運だけです」という面が大きいので、あまりコントロールが可能だと思わないことが大事ではないかと思います。

 また、悪気はないのでしょうが、「こうした方がいいよ」とか「これはあなたがこうしたからよ」とかいろいろ言ってくる人がいます。スルーすることが大事です。今日のお話のポイントは、全部これに通じると思って聞いていただければと思います。


「妊娠中はスマホ見ないで」

 昨年の秋に、田畑智子さん主演の映画「ふがいない僕は空を見た」が公開されました。主人公の田畑智子さんが不妊治療をしてもなかなか妊娠できなくて、しゅうとめとかにいろいろ突き上げられていて、若い男性と不倫するという話です。この不倫している男性のお母さんが、助産院をやっているという設定でした。私は推薦のコメントを頼まれて観たのですが、めっちゃ面白くて感動したので紹介させてください。

 この男性のお母さんの助産院に妊婦さんがやって来て、「私、病院で産むのは絶対に嫌なんです」と言うのです。お母さんは「うちだったら自然出産させてあげるわよ」と言いつつ、「もうこれからパソコンとかスマホは見ないでね。目を使うと妊娠中は悪いの」と言います。この「目を使うな」というのは、「いらん情報を集めてくるな」ということだったのです。

 妊娠中・子育て中って、いろいろと疑問が出てくるじゃないですか。そうすると、たぶんネットでまず検索しますよね。情報を選ぶとき、「たぶんこうだろう」とか、「こうであって欲しい」という思いがない人は、まずいないですよ。だから、自分が期待しているようなことが書いてあるものをクリックする。そうしたら、「やっぱりこうなんだ」という感じになるでしょう。ニュートラル(中立的)に情報を集められたらいいのですが、人間はそうではないのですね。逆に、期待したものと違うようなサイトは、「これはうそだ」と思う傾向にあるようです。

 私が検索してみると、「え、これがトップに出てくるの?」というようなサイトが検索結果に出てきたりします。患者さんがもし「先生には聞きにくい」と思ってこんな情報にたどり着いていたらどうしようと心配もします。

 産科医の情報発信が足りないから変なサイトにたどり着くのかもしれません。情報を集める側も、発信する側も、考えないといけないなと思っています。

ブログ「宋美玄のママライフ実況中継」はこちら


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