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健康食品、表示の緩和 「効き目」リスクにも着目

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 通販や小売店などで売られているいわゆる「健康食品」に、効果をPRする「機能性表示」を認める方向が規制改革で打ち出された。しかし、食品の効き目を見極めるのは難しい。公正な評価の仕組みや消費者が誤解しない表示のあり方など課題が山積している。

 政府は健康・医療分野での国際競争力を強化するため規制緩和を打ち出した。6月に閣議決定した「規制改革実施計画」でも、食品に「機能性表示を可能とする仕組みの整備」を盛り込んだ。食品市場や輸出の拡大が期待できるとする。

 機能性表示とは、食品やその成分が体や健康にどう働くかを示すもの。現行制度では、「トクホ」と「栄養機能食品」以外の食品には「おなかの調子を整える」などの表示はできない。しかし、効果を暗示したり、期待させたりするあいまいな表示が多いのが現状だ。

 健康志向やアンチエイジングブームで、今年の健康美容食品の国内市場は1兆9032億円に上ると市場調査会社の富士経済は予測する。閣議決定の前に答申を出した規制改革会議は、国民の期待に応えるため、加工食品や農林水産物にも機能性表示をと提言した。

 緩和の条件が「科学的な根拠」だ。しかし、学術的な評価がある程度定まったビタミンやミネラルとは違う成分の効果を科学的に判定するのは難しい。

 薬と違い食品は含有成分量にばらつきがあり、成分の種類も多い。どれくらいの量を食べるとどんな効果があるか、人で調べた質の高い研究も十分ではない。

 健康食品メーカーなどで作る公益財団法人「日本健康・栄養食品協会」は、2011年度に、市場規模の大きいヒアルロン酸やグルコサミンなど、11成分を評価した。期待できる効果別にA(明確で十分な根拠がある)からF(否定的)に分類したが、大半がB(肯定的)~D(根拠不十分)。期待する効果を裏付ける根拠が乏しかったり、研究資金を利害関係のある企業が提供して客観性に問題があったりする論文もあり、評価が難しかった。

 海外での論文を、食習慣が違う日本で適用できるかという問題もある。例えば同協会は、海産物などに含まれる「セレン」について、前立腺がんの予防効果を「B」と評価した。

 しかし、国立健康・栄養研究所情報センター長の梅垣敬三さんは「セレンの摂取量が少ない欧州などの研究が多く、海産物をよく食べる日本には当てはまらないのでは」と指摘する。過剰に取ると、胃腸障害、末梢(まっしょう)神経障害などをおこすリスクもある。「効果が期待できるだけの量が入っているかもわからず、その商品が本当に『効く』保証はない」と梅垣さん。

 規制改革会議は、企業が科学的根拠を示せば表示できるアメリカの制度を参考にした。だが、その根拠は動物実験から人を対象にした大規模研究まで玉石混交。どの程度ならどんな表示が可能か議論が必要だ。

 それだけ食べて健康になる食品はない。規制緩和が国民の期待感だけをあおる結果にならないためにも、リスクに目を向け、信頼できる表示を求めたい。

 健康食品 健康に役立つと販売・利用されている食品の総称。錠剤や飲料など様々。「特定保健用食品」(トクホ)と、ビタミン、ミネラルを一定量含む「栄養機能食品」以外は一般食品と同じ扱い。

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