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障害児 地域で職場体験

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広がる「ぷれジョブ」 共生社会めざす

 小学生以上の障害がある子どもたちが、地元の会社や商店で働く「ぷれジョブ」という活動が全国に広がりつつある。職場体験を通じて住民と相互理解を深め、共に生きる社会を築こうという試みだ。(梅崎正直)

 「ラークの仲間はどこだったかな」。たばこ店の店員に声をかけられ、棚から商品を選ぶとエプロンのポケットへ。自動販売機を開け、商品を補充していった。店の人は「今日は一度に2種類のたばこを運べたね」と、「合格!」をくれた。

 東京都杉並区で小学校の特別支援学級に通うヒデトくん(11)(仮名)は、毎週金曜日の午後、この店で1時間働いている。障害児の親たちで作る「杉並ぷれジョブの会」が、今年4月から始めた職場体験活動の第1号だ。

 多種類あるたばこのパッケージを覚え、正しい位置に正しい数を補充するのは簡単ではないが、次第に上手になった。体験は半年の予定で店員と同会のジョブサポーターが付き添う。

 「仕事を認めてもらえて、金曜日は目が輝く」と母親。店員も「礼儀正しく笑顔であいさつしてくれて、こちらも元気になる」と話す。

 障害のある子が職場体験をする「ぷれジョブ」は、2003年に岡山県倉敷市で誕生し、今では21都府県に広がる。親や地域の人々のボランティアで運営され、サポーターや受け入れ企業も無償で参加。学校の職業実習と違い、就職目的でないのが特徴だ。

 全国ぷれジョブ連絡協議会の西幸代・代表世話人は、「障害のある子に大切なのは、地域社会で生きていく力を育むこと。職場体験は自信につながり、地域の人も障害者の状況を理解する。共に支え合う社会になっていければ」と語る。だから、企業就労は難しい重度障害の子も参加する。

 活動の要は、サポーターや職場の人、教師も出席する毎月の定例会だ。各自が体験を持ち寄り、活動の理解を深めるのが狙いだ。

 長野県小諸市で8月6日に開かれた「ぷれジョブinさく連絡協議会」の定例会では、子どもたちが自らの活動を報告した。

 市の動物園で飼育員を体験した中学3年のサトシくん(14)(仮名)が「仕事は楽しかった。ライオンは怖かった」と話すと、母親は「ライオン舎の作業後は『猫は小さいな』と言いながら、飼い猫の世話をするようになった」と成長を語った。

 スーパーで野菜の袋詰めをした特別支援学校中学部1年生(13)の母親は「普段は学校と家を往復するだけで、地域と交流が少ない。いつも買い物に行く店で受け入れてもらえて世界が広がった。責任感も芽生えてきたようだ」と話した。

 同協議会は昨年7月に発足し、26人の障害児が参加。サポーターのなかには、高校生ボランティアもいる。

 共生社会を目指す活動は、東日本大震災の被災地でも始まった。昨年5月には青森県八戸市で「ぷれジョブ八戸」がスタートした。

 松林真弓代表は、震災後に停電が続いたため、「電動車いすを使う娘はとても困った。どこに避難すればいいかがわからず、頼れる人もなかった」と振り返る。避難で困難を感じた障害児と親は「普段から子どもの存在を知り、気にかけてくれる人がいる地域作りが必要だ」と痛感したという。

 協力事業所は保育園や喫茶店など6か所に増え、これまでに小学5年から大学1年まで7人が参加した。

 高校2年の女子生徒(17)は、同市のスーパー「コープあおもり・るいけ店」で商品の陳列を担当。他人とのやりとりが苦手だが、4か月通い、今は「いらっしゃいませ」が言える。店長も「店員が障害のある子に接して理解することで、多様なお客さんへのサービス改善に役立っている」と話す。

 地域福祉に詳しい東京学芸大学の松矢勝宏・名誉教授は「こうした活動は、高齢者やひきこもりの若者、外国人など様々な人たちと共生できる社会を作ることにもつながる」と評価する。

 ぷれジョブ 障害がある小学校高学年から高校生くらいまでの子が週1回、1時間程度、地域の会社や店舗で仕事を体験できるよう支援する活動。仕事体験は6か月程度で、ボランティアのジョブサポーターが付き添う。事業者も無償で協力する。


問い合わせ先】「全国ぷれジョブ連絡協議会」(http://www.prejob.jp/)連絡は、電話090・1014・8637かメールinfo@prejob.jp

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