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相続税改正…課税倍増!? 対策は今でしょ

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 2013年度の税制改正で、相続税が大幅に見直された。15年1月以降の相続分から、一気に増税となる。これまで相続税は富裕層が払うものと思っていた人も、もう人ごとではない。シニアにとっては相続対策が新たな悩みの種で、男女3人が銀行のセミナーに参加した。

講師の古谷さんの説明を聞く(右から)岡本さん、林さん、中尾さん(奈良市のりそな銀行近鉄西大寺支店で)=奥村宗洋撮影

 奈良市の林良次郎さん(77)、同市の岡本薫さん(72)、奈良県平群町の中尾暁子さん(67)が、りそな銀行近鉄西大寺支店で、同行プライベートバンキング室の古谷志保子さん(46)の話を聞いた。

 「今回の税制改正の焦点は相続税の基礎控除の大幅引き下げです」と、古谷さんが資料を配って説明を始めた。

 まず、相続税の基礎控除が40%も引き下げられる。基礎控除額が下がると、課税対象額は増え、結果的に税負担が大きくなる。

 資産が1億円で子供2人が相続する場合、現行の基礎控除は5000万円に子供1人当たり1000万円をかけた額を足して算出する。この場合は7000万円となり、1億円から引いた3000万円が課税対象だ。

 これに税率15%をかけ、さらに1人50万円ずつ控除すると、これまで課税額は計350万円という計算だった。

 しかし、改正後は基礎控除が4200万円に下がり、課税対象は5800万円。課税額は計770万円になる。

 「税金が2倍以上も上がるのですか。それは困った」

 思わず上がった声に古谷さんは「一方で特例制度があるんです」と呼びかけた。

 その一つ、小規模宅地等の特例は、自宅や事業用などで4種類に分かれ、自宅の土地を相続する場合なら、330平方メートルまで財産の評価額を80%下げられる。

 この場合、特例が適用される相続人の条件があり、「配偶者」「同居か生計が同一の親族」、これらの人がいない場合は「持ち家がない別居の親族」のいずれか。細かい条件の違いを聞き、熱心にメモを取る参加者もいた。

 相続税改正まで1年以上ある。「今のうちに対策を考えておこう」。皆、その思いを強くした様子だった。(立石知義)

金融機関に問い合わせ急増

 金融機関や税理士によると、相続税の改正に伴い、実際に課税される対象は全体の4%から6%台に上がる見込みだ。「首都圏なら山手線の内側に自宅がある人、関西では都市部に持ち家があればほとんどが対象となる」という。

 このため、税制に敏感なシニア層から各金融機関に寄せられる相談や問い合わせの件数が今年度に入って急増。大手行、地銀などはセミナーや勉強会を活発に開催し、新しい税制の仕組みから具体的な相続対策について助言している。

 りそな銀行では、相続対策として配偶者や子供らが取得した死亡保険金に関する制度の活用も提案。死亡保険金500万円に相続人の人数をかけた額が非課税となる制度だ。

 同行は「顧客から預貯金や有価証券、生命保険、不動産などの資産を聞いた上で助言しています。早めに相談を」としている。

 林さん「私が老人ホームに入った後、自宅が空き家になったら相続対策を考えてみます」

 中尾さん「主人が亡くなり、ちょうど相続税対策を考えていました。どのように長男に相続させればいいか、大変参考になりました」

 岡本さん「相続税の負担が重くなると、将来子供たちが困るでしょう。今のうちに相続対策を考えておきたい」

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