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オトコのコト 医師・小堀善友ブログ

妊娠・育児・性の悩み

精子の老化の話をしよう

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 最近、様々なメディアで「卵子の老化」がよく取り上げられるようになってきました。われわれ、不妊症を専門とする医師としては、年齢を重ねることにより妊娠しづらくなってくるということは当たり前の事実となっていましたが、一般に広く知られるようになってきました。

 では、精子は老化するのでしょうか? 以前、「年の差カップル 本当のところ」(2012年4月24日記事)でも少し触れたこのテーマを、今回、掘り下げたいと思います。

精液検査と年齢の関係

 男性の年齢が上昇するに従い、精液の量、精液濃度、精子運動率、正常精子が減少していく、との報告がある一方、精液の濃度は年齢を重ねても減少しないとの報告もあり、議論の残るところです。

 しかし、大事なのは精子の数や運動率といった精液検査の結果ではなく、その先にある「赤ちゃんができるか、受精する能力があるか」ということになってきます。

精子が老化するメカニズム

 ひとつの指標として、精子の染色体を構成するDNAの損傷があげられます(専門用語でフラグメンテーションと呼ばれています)。

 精子のDNA損傷は、加齢と不妊に密接に関係していることが分かっています。というのも、さまざまな研究が、加齢により精子のDNAの損傷が増加することを示しているからなのです。

 精子のDNA損傷は自然妊娠する率を下げることは知られていますが、体外受精や顕微授精などの生殖補助医療を用いた場合では、一概に、影響があるとは言い切れないようで、妊娠率には差がないと言われています。

 一方、父親が高齢だと、流産の率が上昇するとの報告もありますので、やはり、男性の年齢が全く不妊に関与しないとは言い切れないでしょう。

酸化ストレス=老化のストレス

 精子のDNA損傷の原因として、精子DNAのメチル化や酸化ストレスが関係していると言われています。酸化ストレスとは簡単に言えば老化によって引き起こされる状態のことであり、たんぱく質、脂質、そしてDNAが損傷されることでさまざまな障害が起こります。動脈硬化や狭心症などの原因とも言われています。

 精子中の酸化ストレスも老化によって上昇することや、不妊症患者の精子は明らかに酸化ストレスが多いことがわかっています。

 また、父親の年齢が高いほど、DNA配列の変異がおきやすく、子供の自閉症や統合失調症が増えるとの報告もあるのです。

子供が長生きする可能性も?

 ポジティブな報告もあります。高齢の父親の子供は、染色体のテロメアという、細胞の寿命にかかわる部分が長く、長生きするかもしれないという報告もあります。

 いろいろな観点からお伝えしましたが、大事なのは、父親の年齢も母親の年齢も妊娠や出産に関連してくるということです。年齢ばかりは、不妊に悩むカップルにとっては正直言ってどうにもならない問題です。

 卵子や精子のアンチエイジングに関する研究も進んでいますので、成果が待たれるところです。

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オトコのコト_小堀善友顔120px20150821

小堀善友 (こぼり よしとも)

泌尿器科医 埼玉県生まれ

2001年金沢大学医学部卒、09年より獨協医科大学越谷病院泌尿器科勤務。14年9月から米国イリノイ大学シカゴ校に招請研究員として留学。専門分野は男性不妊症、勃起・射精障害、性感染症。詳しくはこちら
主な著書は『泌尿器科医が教えるオトコの「性」活習慣病』(中公新書ラクレ)。詳細はこちら

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5件 のコメント

同級生故卵も精も同級生でしょうね

めざめたじいさん

28歳同志の結婚で、二人とも始めて肌合わせ。数えてみればハネムーンベイビイ。他人は好奇の目で指折りしていました。「おめでとう」と言いながら、フラ...

28歳同志の結婚で、二人とも始めて肌合わせ。数えてみればハネムーンベイビイ。他人は好奇の目で指折りしていました。「おめでとう」と言いながら、フライイングでは…と、目が笑っていました。

じい自身の出生は、奇遇両親も同級生同志、しかも28歳の時の子どもでした。当時は10代で結婚したので、精子も卵子も老化など考えられなかった時代だったようです。

友人の名前にも、親の悲鳴を聞くようです。
留子、末子、了、止…。
「神様仏様、もう結構です、どうかこれ以上子どもが授かりませんように」と、祈りつつ、祈りつつ。

>父親の年齢が高いほど、DNA配列の変異がおきやすく、子供の自閉症や統合失調症が増える
思い当たることが田舎のある家で起こっていました。40歳を超えて結婚した家、5人の子どものうち3人が聾唖者でした。障害者の教育施設のない時代でしたから、人目に触れない部屋で育てていたようです。





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若いうちが花、華

埼玉のシニア

めざめたじいさんも、一人自分の分身が出来てからですから、良かったですね。二人目は出来なかったかも。避妊も必要がなかったかもネ。茨城のおじいさんの...

めざめたじいさんも、一人自分の分身が出来てからですから、良かったですね。二人目は出来なかったかも。避妊も必要がなかったかもネ。

茨城のおじいさんの話では、60歳前後から浮気に走ったようですが、その相手も未だ50代の生理のあった方らしいのですが、何も防備せず遊んだが子供は出来なかったと言っていました。両方とも年配者で精子、卵子の老化で出来なかったのだと先生のブログで認識。

なんでもかんでも、若いうちが花、華。今はもう秋 誰もいない海 、、、。

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おたふくかぜで入院した

めざめたじいさん

息子が生まれて数ヶ月経った頃、職場にいる子どもがおたふくかぜに罹り、急いで親元に帰したことがあります。3日ほど一緒の生活をした所為か、帰ってきた...

息子が生まれて数ヶ月経った頃、職場にいる子どもがおたふくかぜに罹り、急いで親元に帰したことがあります。3日ほど一緒の生活をした所為か、帰ってきたらおたふくかぜの症状がでました。

病院に行ったところ、「家に小さな男の子がいるんだったら親を隔離します」と言われ入院になりました。男の子に移らないように用心したのでしょう。

医師は回診するたび「睾丸を入念に触診して「痛くないか、痛くないか」と聞きます。若い頃だったので触診が嫌でした。人に触れられたことがなかったし、恥ずかしさが先に立ったのです。

1週間ほどで退院できました。しかし、家内は仕事を最優先していたので、1人いればもう要らないと言って、それ以後は避妊していました。今頃になって後2人子どもが欲しかったと言いますが、もう、後期高齢者、卵子はすでになく、精子もすっかり弱っているに違いない。これではどう力んでも、神も仏も横を向いてしまっている。

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