女優 遠野なぎこ さん 33
一病息災
[女優 遠野なぎこさん]摂食障害(2)母から「吐けばいいのよ」
少女時代に女優志望だった母は、夢を子どもに託して、当初、弟と妹を児童劇団に入れた。ところが思いがけず、劇団スタッフに声をかけられて、自分も子役をやることになった。
最初に端役で出演したテレビドラマがヒットすると、母は突然、バレエやピアノ、書道と習い事をさせた。「ママに認められた」。舞い上がる気持ちで習い事も劇団も熱心に通ったが、母への思いは空回りした。
「他人には私のことを自慢しても、私がうらやましいのか、自分が目立ちたいだけなのか、面と向かってはほめてくれなかった」
16歳の時、ドラマの仕事も順調に入り、事務所の方針で雑誌のグラビア撮影もするようになった。当時、高校の夜間部に通いながら、育ちざかりの弟や妹の食事の世話もしていた。無意識のうちにつまみ食いをして、体重が増えていた。
「後から考えれば、55キロぐらいだから思春期の女子としては普通。でも自分の醜さを母に刷り込まれていた私は、グラビアの自分の体が見るに堪えなかった」
そんな時、母が言った。「吐けばいいのよ」。最初は食べ過ぎた時だけのつもりが、すぐに毎日の習慣化し、コントロールできなくなった。「白湯を飲むと吐きやすい」「麺類を最初に食べた方がいい」などと助言する母自身、実は過食嘔吐を繰り返していたことは後で知った。
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女優 遠野(とおの)なぎこ さん 33