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ボランティアの育成と活用
これからの超高齢社会、地域の住民同士で支え合う仕組みが必要と言われるけど、備えは進んでいるの?
災害念頭に「互助」後押し
東日本大震災では、お年寄りや障害がある人の避難の手助けやその後の生活支援が、行政だけでは十分に行えず、地域住民やボランティアの果たした役割が大きかった。大規模災害に備える意味でも、普段から一人暮らしのお年寄りの見守りなどで、住民同士が互いに支え合う体制を整備しておくことが重要だ。
このため、厚生労働省は今年度から、地域のボランティア活動を後押しする「地域資源・人材育成支援事業」をスタートさせた。都道府県や市町村、社会福祉協議会、社会福祉法人、NPO法人など、人材確保や活動支援を行う団体に補助金を出す。
対象となるのは、「人材育成」「需給マッチング」「ボランティアネットワーク構築・普及啓発」「災害ボランティア活動支援」に取り組む団体。このうちのいずれかを行う場合も含まれる。
人材育成は、ボランティアの担い手や調整役となる人材の発掘と、養成研修の実施が主な内容だ。
需給マッチングは、ボランティアセンターや人材バンクを設置するなどして、手助けを必要とする人からの依頼を受け、ボランティアに活動の場を提供する。独居高齢者の見守りをはじめ、子育て支援や障害者支援などでの活躍が期待されている。
ネットワーク構築は、センターやバンク、NPOなど関係団体による連絡会議を設置し、連携体制作りを行うもの。さらに、地域住民の理解と関心を高めるためのイベントや講座なども開催する。
災害ボランティア活動支援は、被災者支援にあたるボランティアと活動の調整役となる人材の確保・育成にあたる。大規模災害の発生時には、災害ボランティアセンターを開設して連絡調整などを行うため、その準備もしておく。
対象となる団体の審査を経て、今秋から実際に各地で活動が始まる見込みだ。
6月の災害対策基本法改正で、市町村には災害時に自力避難が難しい人の名簿の作成と、自治会など地域団体への提供が義務づけられた。地域の「互助」の重要性は増している。震災で高まったボランティアへの関心を、いかに継続的な活動につなげていくかが問われる。(梅崎正直)
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