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ボンジュール!パリからの健康便り

医療・健康・介護のコラム

自然療法ホメオパシー 信じる者は救われる?

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 もう10年くらい前になるだろうか。腰痛のためにオステオパット(4月24日掲載の本ブログ参照)の先生に見てもらった時、何か他の症状はないかと聞かれた。「ここ数日、寝つきが悪く、睡眠不足です」と話すと、サラサラと処方箋に何やら書いて、「それではこれを試してみて下さい」と言う。「睡眠薬は飲みたくないのですが」と言うと、「違いますよ、これはホメオパシーという自然療法の一つです」と言った。

 そういえば、薬局のウインドーによく Homeopathie と大きく書いてあることを思いだした。それまでは処方されたことも、使ったこともなかったので、あまり気にもとめていなかった。イギリスでホメオパシーの勉強をしたという先生の説明によると、同種療法といって、症状を起こすものが、症状を消すという基本概念から、症状を起こす物質を希釈して薄め、ごくわずかを与えることにより、身体の自然治癒力が引き出され、症状を軽減するということらしい。

 これは18世紀後半にドイツのハーネマンという医師が確立した。ヨーロッパではホメオパシーは誰もが知っていて、きっと誰もが一度は使ったことがあるのだと思う。

 薬局に行くと、アーニカという名前を良く目にする。これもホメオパシーの一つで、うさぎ菊が原料らしい。打撲、傷などに効くとされている。動物が怪我をすると、このうさぎ菊を食べると聞いたことがある。出血を抑えるため、手術前に飲むと良いとも聞いたこともある。真意は定かではないが、確かに、どこかを強く打ってしまった時、すばやくアーニカを飲むか、アーニカのクリームを患部にすり込むと内出血がひどくならないような気がする。

 フランスでは、医師の処方であれば健康保険から35%の還付が受けられる。処方箋なしでも買えるホメオパシーは、薬局で相談して普通に買うことができる。値段も安価なことから、昔から常備薬の一つとして、家の薬箱に何かしらのホメオパシーが入っているのではないだろうか。より希釈したものがより効果があるとされているこの物質は、科学的証拠が立証されず、効果を証明できない。フランスでも賛否両論で、医師の間でも意見はいろいろだ。

 薬局で渡された小さな円筒状の入れ物には、レメディーという小さな砂糖玉が入っていた。ただ甘いだけで何の味もしない。調べてみると、私が処方されたホメオパシーはカフェインの成分であった。不眠にカフェイン、なるほど……。効果は、よくわからなかった。

 ところが、このホメオパシー、動物にはよく効くらしい。特に馬には大変な効果があるとされてフランスではよく使われている。我が愛猫もホメオパシーを処方されたことが幾度とある。こちらも効果は?だが、ただ一つ大変な効果があると思う物がある。それはカレンデュラ、やはりこれもキンセンカという菊科の花である。愛猫がじゃれて引っ掻いたり、噛まれたりした時にすぐ塗ると、ほとんど傷ものこらず、すぐに治ってしまうのである。

 この不思議な砂糖玉、信じる者は救われるのだろうか。少なくとも、私は信じて今も時々お世話になっている。そして最近のフランスでは、ホメオパシーはインフルエンザ、風邪、ストレスの順に、代替療法としてよく使用されているらしい。


編集部注)  上記ブログは、あくまでフランスのホメオパシーの現状を、筆者の経験や見聞に基づいて報告していただいたもので、日本とは状況が異なります。国内では2010年、山口市の助産師が生後2か月の女児にビタミンK2シロップを与えず、代わりにホメオパシーの砂糖玉を与えて死亡させたとして訴訟になりました。この問題を受けて、当時の日本学術会議会長が「ホメオパシーの治療効果は科学的に明確に否定されています」などと使用を慎むよう求める談話を発表し、日本医師会や日本医学会も賛同しました。


今週のトピック

ストレスは万病の元
 イギリスとフィンランドの共同研究によると、7268人の15年にわたる調査の結果、慢性ストレスは心血管疾患、糖尿病、高血圧の促進など、健康に悪影響があることが示されたと発表。喫煙、果物や野菜の摂取不足、そして運動不足の独身女性が、特に影響を受けやすいという。

写真撮影:n.m

■ 今週の一句

菖蒲香 望むはたった 一人かな

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古田深雪(ふるた みゆき)

1992年渡仏。
1997年より医療通訳として病院勤務。

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