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クラゲ観賞癒やし効果 脱力系の舞い、時を忘れる

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水槽をゆったりと舞うクラゲ。女性やカップルを和ませる(神奈川県藤沢市の新江ノ島水族館で)=本間光太郎撮影

 丸みを帯びたはかなげな姿で、ゆらゆら水中を漂うクラゲ。海水浴客を刺したり漁業のじゃまをしたり「海の厄介者」といわれる一方で、そのストレス解消効果が注目されている。展示を充実させる水族館が増え、安らぎを求めて訪れる人も多い。(高梨ゆき子)

音楽、香り水 族館の展示工夫

 古くからクラゲの飼育に力を入れてきた新江ノ島水族館(神奈川県藤沢市)のクラゲファンタジーホール。水槽前で、じっとたたずむ女性やカップルが目立つ。

 群馬県の主婦、栗原知子さん(49)は「しみじみ見ると癒やされますね」とつぶやいた。中学生の娘が修学旅行中なので、思い切って出かけた初めての一人旅。「家事や育児を忘れ、久しぶりに羽をのばしました」と笑顔を見せた。

 「海で泳いでいると刺されるから嫌いだったけど、見る分にはいいですね。ゆっくりしたペースに心が和みます」と、福岡市から母親ときた麻生孝子さん(31)も満足そうに見入っていた。

 同水族館は、クラゲの水槽に音楽、香りを組み合わせるなど展示を工夫している。特に30~40代の女性に人気があり、女性限定の夜間イベントには、40歳前後を中心に、いつも定員を超える申し込みがある。

 日大生物資源科学部が2005~08年、クラゲに関して行ってきた様々な研究がある。例えば、クラゲのDVDを観賞した前後で、ストレスを感じると上昇する唾液中の物質・クロモグラニンAの濃度を測定したところ、観賞後に値が低下することがわかった。脳の血流量からストレスの状況を見る光トポグラフィー試験からも、DVD観賞後は血流量が減り、ストレスが軽減されることを確認した。

 同大の広海(ひろみ)十朗教授は「スローテンポな泳ぎや傘の拍動、不思議な形からくる非日常性や神秘性が、忙しい現代人の心に響くのではないか」と指摘する。

 広海教授によると、2000年代半ば頃から、クラゲのこうした効果に着目して展示を充実させる水族館が相次いでいる。

 長崎県佐世保市の九十九島水族館は09年、クラゲを目玉に改装オープンした。静岡県下田市の下田海中水族館は今年4月、「癒やし」がテーマのクラゲ展示を始めた。

 現在50種以上のクラゲを飼育し、世界最大のクラゲ水族館といわれる加茂水族館(山形県鶴岡市)は、以前は家族連れとお年寄りの来館が中心だったが、クラゲの展示を拡充した05年頃から女性やカップルに客層が広がった。副館長の奥泉和也さんは「ただ水に流されて生きる“脱力系”の様子が魅力。多くの人が、魚に比べ3~5倍くらいゆっくり時間をとって見ていく」と話す。

 日常的な健康づくりの観点から、クラゲを研究した長崎県立大の西村千尋教授(健康科学)は「クラゲは身近な癒やしの資源として活用できる。疲れた時に観賞すればほっとできるし、自分を取り戻せると思う。地域の水族館を上手に活用してみては」と提案する。ストレスがたまったら、ふらりと水族館を訪れるのもいいかもしれない。

新江ノ島水族館女性向けクラゲイベント参加者募集  お泊まりナイトツアー「クラゲヒーリングナイト」
 8月7~8日、成人女性(定員60人)。1人1万2000円(入場料、朝夕2食、クラゲ講座、ショーなど)。7月1~17日にホームページ(http://www.enosui.com/)で申し込む。応募多数の場合は抽選。
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