文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

日野原重明の100歳からの人生

介護・シニア

欧米に先駆けて老年医学研究 尼子先生の業績

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

 私は去る6月4日に大阪の国際会議場で開催された第28回日本老年学会に招かれ、「老年学の過去、現在、未来」と題した特別講演を行いました。荻原俊男学会長(森ノ宮医療大学学長・大阪大学名誉教授)のもと、学会テーマは「更なる健康長寿をめざして~超高齢社会における老年学の役割~」というものでした。同時に催された第55回日本老年医学会学術集会とあわせ、全国から3000名を超える関係者が集まり、3日間にわたりシンポジウム、パネルディスカッション、一般研究発表、ポスターなどでの日ごろの取り組みの成果発表などが行なわれました。

 誰もがご存じのように、日本は世界でいちばん高齢化の進んだ社会です。2012年9月の統計で、65歳以上の人口は全体の24.1%(3,074万人)、そのうち75歳以上人口は1,517万人に達しており、この傾向はますます強まっていくものと予測されています。日本につづくドイツ、イタリア、そして韓国、中国などは、日本がどのようにこれに対処していくかに注目しています。というのも、加齢に伴う身体的な脆弱化(ぜいじゃくか)は避けられないことでもあるからです。

昭和17年に老年医学研究を発表

 講演では、私は日本のこれまでの老年医学の先駆者、尼子富士郎先生(1893-1972)の業績を紹介しました。

 尼子先生は、日本で初めての本格的な老人施設「浴風園」(東京都杉並区)の医長になり、その後、浴風会病院の発足とともに、初代の院長を務めた方で、日本における老年医学の先覚者です。既に1942(昭和17)年には、それまでの成果を「老年者の生理及病理」と題して日本内科学会で発表していますが、欧米のどこの国よりも早く発表された老年医学に関する研究です。

 私もかつて日本医学会総会で先生の講演をお聴きしたことをよく覚えています。

日本の老年医学を進めよ

 ところがその後の日本の老年医学には、はかばかしい進展がみられません。

 欧米の医科大学にはほとんどすべてに老年医学の講座が独立して設置されており、大きな研究成果があげられているのに、日本では全医科大学80校のうち、老年医学が講座として独立して存在しているのは21大学、わずか26%にすぎないのです。日本老年医学会は国際老年学会に加入はしていますが、まだまだ外国に誇れる体制ではありません。

 先に述べたように世界の最先端をいく日本の高齢社会にあって、日本に課された役割の大きいことを日本老年医学会に参加した会員はよく認識し、学会だけでなく、国民にも強く働きかけて、老化への対応について研究が進むことを私は強く望みます。

 私が理事長を務める(財)ライフ・プランニング・センターでは、7月13、14の両日、「より質の高い高齢者医療の実現を目指して」と題する国際フォーラムを開催します。関心のある方は http://www.lpc.or.jp/health_edu/seminer/kokusai2013.htm をご覧ください。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

日野原重明ブログ_顔120_120

日野原重明(ひのはら・しげあき)

誕生日:
1911年10月4日
聖路加国際病院名誉院長
詳しいプロフィルはこちら

日野原さんが監修する「健康ダイヤルweb」はこちら

日野原重明の100歳からの人生の一覧を見る

最新記事