すてきライフ
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「障害も個性」理解深まる
視覚障害の女性、という役をいただいた時は、ハードルが高いなあ……と思いました。
それまで、視覚障害のある人と接したことはほとんどありませんでした。だから、今回の映画では、撮影前に目が不自由な人にお会いして、まず知ることから始めたんです。
その人は、同年代の女の子でした。私は、目が見えなければ、できないことが多いと思っていたんです。でも、一緒にいて、話して、すっかり印象が変わりました。身の回りのことの大部分は自分でできるし、その動きはとても自然です。周囲の支えがあれば、自立した生活もできるんです。現実に、一人暮らしをしている人もいるそうです。
障害が有る無しに関係なく、同年代らしい、いろんな話をしました。でも、そのなかで違いも知りました。例えば、服を買いに行く時には、友達や家族に同行してもらって、一緒に似合う服を選びます。自分では、手で触った感じを頼りに、服を品定めするのだそうです。同じこと、違うこと、私には学ぶことがたくさんありました。撮影でも、常に相手と目を合わせないで演技するという、初めての経験をしました。
女優の仕事をしていなければ、私はずっと視覚障害について知らず、障害のある人と出会うこともなかったかもしれません。みんなが障害を理解して、ハンデを個性と思えるような世の中になればいいですね。(聞き手・梅崎正直、写真・池谷美帆)
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夏帆(かほ)さん 女優。1991年生まれ。2003年、CMデビュー。映画「箱入り息子の恋」(8日から公開・キノフィルムズ配給)で、ヒロインを演じている。
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